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小説挑戦


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ありのままに─第3話─

俺がこれから通うことになった、私立聖祥小学校は、白を基調とした制服だった。


「じゃあ、これから教室に案内するわね」


そう言って、俺が通うべき教室へ案内をしてくれる、先生。
先ほど、お互いの自己紹介は終わり、俺のクラスの担任とのことだった。

全くの新天地で、ここに友達が一人もいない俺にとっては不安と期待が込み上げる。

ここに来たのは、昨日。これからお世話になる高町家のみなさんに挨拶をして昨日は終わったが、
今日は朝早くから剣術の鍛錬をしてきたばっかしで、今はかなり眠い。

剣術の鍛錬も、自分にとっては初めてのことで、慣れないながらも楽しく出来たので自分としては満足してる。
なにより、これから先も続けていくことになりそうなのでこの気持ちを忘れずにしたい。

まぁそんなわけで、この新天地では新しいこと尽くし、まさに新しい天の地の名に恥じないほどの新環境だった。
そして、この学校もまた新しいことの始まり。


「ここが私達のクラスよ、入って」

「はい、分かりました」

「おはようございます。今日は転校生の子を紹介します」


教室が先生の転校生という言葉で若干騒がしくなった。
春先──といってもすでに6月で、つい最近に入学式も終わったばっかしの頃。
そのせいか、転校生ってだけでも騒がしくなるのに余計に注目を浴びている気がする。


「今日から、この学校で皆さんと一緒に勉強することになる、相沢竜也君です。
相沢君自己紹介お願いね」


ようやく、と言ってもそれほど待ってはいないが、自己紹介。
みんなの視線がとても痛い。
心臓がバクバクする。とてつもなく緊張しているのかな。


「ええっと、この学校に転入してきた、相沢た─」

「竜也君!?」


教室に他の生徒の声が響き渡った、というよりなのはだった。
俺としては一人知り合いがいるだけでやりやすい、もとい居心地がぐっとよくなるのだが、
この場面でその発言は、緊張感を仰ぐだけだと思う。


「高町さん」

「ごめんなさい。」


先生のお叱りの声がなのはに向かって放たれた。
その言葉でなのはは、しゅんとなり小さくなってしまった。
その上隣の女の子は友達なのだろうか、ちやほやされてる様子。


「じゃあ、相沢君もう一回お願いね」

「相沢竜也です。どうぞよろしくお願いします」

「はい、ということです。みなさん、拍手」


先生の言葉に合わせての拍手。


何とか噛まずに言えたと思って少しホッとする。
もしここで噛んでしまえば、ギャグ要員として定着するか、弄りキャラの定着に繋がってしまう。
何より、第一印象が……

そういう意味では、この無難な自己紹介はほぼ完璧だったと言えるのではないのだろうか。
なので、よし! と心の中でガッツポーズを決める。


「高町さんとは知り合いのようだから、高町さんの前に座ってもらいますね。
そうしたほうが色々と過ごしやすいと思うので」


先生の配慮はとても嬉しいものだった。
やはり、知り合いが一人もいないのと、一人いるのとではだいぶ違う。
例え知り合いが同じクラスに来て驚きの声をあげた、なのはであろうともだ。

先生の指示通りになのはの前の席に座る。


「驚いたよ、まさか竜也君が同じクラスになっちゃうだなんて」

「うん、同じ気持ちなんだが、裏で誰かが糸を引いてる気がしてならないよ」


え?と訳が分からないという表情をする、なのは。当然の反応だ、なのははあの母のことをあまり知らないのだから。
だけど、俺は知っている。謎の人脈を誇るあの母のことを。
まぁそのおかげで俺はここにいることが出来るのだが。


「じゃあ、改めてよろしくね、なのは」

「うん、よろしく。竜也君」

「二人だけでなにやってんのよ」

「ちょっと、アリサちゃん……」


なのはの隣から、口を挟んできたのは、金髪ツインテの勝気な雰囲気の女の子と、
紫に近いほど長く綺麗な黒髪の大人しそうな雰囲気を漂わせている女の子。


「なのはちゃん、この子が昨日のメールで言ってた例の?」

「うん、そうだよ。昨日引っ越してきた、竜也君」


どうやら、この二人はなのはの友達のようだった。
それにしてもなのは、昨日会ったばっかしなのにそのことを直ぐに友達に報告とか、
いや、別にいいんだよ。いいんだけどさ。

せめて、俺にも一言欲しいよ。


「ふ~ん、容姿はかっこいい系と言うよりは綺麗系ね。結構整ってるし、いいんじゃない合格」

「アリサちゃん、失礼だよ」


全くその通りである。
しかも合格って何、合格って……

ええっと名前は─


「私の名前は月村すずか。すずかって呼んでね、よろしくね、竜也君」

「私はアリサ・バニングスよ。アリサでいいわよ、私も竜也って呼ぶから」


すずかは見た目どおり温厚な感じの女の子だな。
それに比べ、アリサは……しかも、いきなり呼び捨てですかい。
まぁいいか、その方が親しみやすいしね。


「こちらこそ、なのはがお世話になってます」

「え、竜也君それは私のセリフなの!」


なのはのセリフでもないと思うが。


「なのはの使い方を心得ているわ、やるわね。なのは、ちゃんと挨拶しなさい」

「え、はい。高町なのはです、よろしくお─ってそうじゃないの!」


なるほど、アリサも心得ていると言うのか!
さすがなのはの友人であるだけはある……って俺何キャラ?


「まぁ冗談はさておき、よろしくね、アリサ、すずか、おまけになのは」

「うん、よろしくね。竜也君」

「あんたとはいい仲になれそうだわ。よろしくね、竜也」

「もう、いい加減にしてよ、竜也君……でも、よろしくね、竜也君」


こんなわけで俺の初陣は、ほぼ最高と言える結果で迎えられたと俺は思う。
やっぱり、なのはという一つのキーセンテンスが大きいんだろうな。
いなかったら、この二人とは仲良くなったかもしれないが、こんなに早くは打ち解けられないだろうから。




─なのはSIDE

昨日引っ越してきたばっかしの竜也君。

初めて見たときに素直に思ったのは、綺麗な顔だなということ。
その綺麗と言うのは男の子としてと言う意味で、女の子みたいということではないよ。

それでも、いきなりなのはの家に来たからビックリして、最初はちょっとびくびくしたけど、今は全然平気。

男の子としゃべる機会はあまりなかったのもびくびくしちゃった理由の一つ。
お兄ちゃんはいるけど、同年代の子はほとんど初めてだったから。

でも、実際に話してみたらとても話やすくて、面白い人だった。
今日はアリサちゃんと一緒になのはで遊んでたけど、それでも楽しかったから許してあげるの。

それに、すずかちゃんとアリサちゃんの二人とももう仲良くなったから、とても嬉しい。
ちょっと竜也君すごいかもって思った。

なのはでも、あの二人と仲良くなるにはあのことがあってからだったから。
それなのに、竜也君は紹介しただけでもう仲良しだもん。

あ…でも、それってなのはのおかげ? なんて思ったり。


そういえば、竜也君は他にもすごかったよ……
アリサちゃんとすずかちゃんを合わせた感じのすごさ。

勉強はアリサちゃんと全くの互角だし、運動はすずかちゃんと互角。
なのはが勝てる要素が一つもないの……

アリサちゃんが


「なんて、チートよそれ。どこのガンダム?」


とか言ってたの。意味が全く分からないけど、とりあえずアリサちゃんがかなり驚いてたのには違いないと思う。

竜也君って一体何者なの!?

竜也君のお父さんは、家の剣術の使い手だったみたいだし、その中でも1・2位を争うほどって。

お母さんのほうは……よく分からないの。
でもなんだか大物臭がする……気のせいだよね?


「なのは、帰るわよ」

「あ、うん。帰ろう、すずかちゃんも、竜也君も」

「うん」

「え、俺も?」

「当たり前だよ。友達なんだから」

「そ、そうか。友達だもんな」


うん、そうだよ。竜也君はもうなのはの大切な友達の一人だよ。
竜也君と一緒にいるとまた新鮮で楽しいな~




─SIDEOUT

なんだかんだで、学校初日はあっという間に過ぎてしまった。
最初の自己紹介の後は、たくさん人が来て色々といっぺんに話しかけられて大変だったが、
アリサとなのはのおかげでことなきをえた、と思う。

授業は簡単だったし、体育は楽しかったので文句のない学校生活かな。

あえて言うならなのはたちが驚いていたということかな。

理由は、勉強面がアリサと同じぐらいだったのと、運動面がすずかと同じぐらいだったかららしい。
むしろね、俺が驚きなんだよ?

俺の場合はいい成績取れなくちゃここに残れないから、必死だし。
運動はすずかは女の子だよ?
それが男子である、俺と一緒っておかしいでしょ。

こう見えても運動能力にそこそこの自信があったから、軽く落ち込むぐらい……

まぁそれを含め、アリサもすずかもとても優しいし、一緒にいると楽しいからいいんだけどね。


「じゃあ、今日は用事があるから私は先に帰るわね」


学校の前でそう言ったのはアリサ。
先に帰るって別に俺……まぁなのはも別に寄り道するわけじゃないだろうから一緒に帰ればいいのに。

そう思うと、学校の前に一台のリムジンが止まってそれに乗り込むアリ─


「はあ!?」

「ああそうか、竜也君知らないもんね、アリサちゃんの家はとてもお金もちなんだよ。
すずかちゃんの家もアリサちゃんの家ほどじゃないけどすごいんだよ」


いやいや、お金持ちでも限度があると思うぞ?
お出迎えがリムジンってすごすぎでしょ。

周りの人は違和感ないのかよ。

そう思い周りを見渡しても誰も首を傾けるしぐさもない。
……そうか、ここの学校はこれぐらいで普通なのか。とんでもないお嬢様学校だな。

俺は場違いなところに通ってるんじゃないかと思う。
ああ、なのはも場違いか。


「いま、失礼なこと考えたでしょ?」


きっと気のせいである。


「じゃあ、アリサちゃん私も送ってもらってもいいかな?」

「いいわよ、じゃあ、なのは、竜也また明日ね」

「なのはちゃん、竜也君また明日」

「ああ、また明日」

「またね、アリサちゃん、すずかちゃん」


本当にこの新天地は新しいことや驚きばかりだ。
そして、楽しいことばかりで、友達も出来て。

まだ、ここに来て1日しか経ってないけど、来てよかったと心の底から思う。

父さんはいないけれど、
母さんは笑顔を取り戻してくれて、本当にいいこと尽くしだ。


最後のおちと言ってはなんだが、
なのはに言われるがままになのはの家に遊びに行けば、当然のように母さんがいた。

その上、なのはの部屋に入れてもらうことになったときには、どこからか殺気を感じたのは言うまでもない。
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