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小説挑戦


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ありのままに─第5話─

母さんは実は異世界人だった。
そのことに衝撃は受けたものの、なんとなく納得させてしまうのがこの母のすごいところだと思う。

そして、運命の出会い。
あまり詳しい経緯は話してくれなかったけど、母さんの一目惚れだったそうだ。

母に目を付けられた父さんも迷惑な話だと思う。

そして、俺が生まれて。幸せに生きていたところで、父さんが死んでしまった。

実は父さんが死んだ詳しい経緯も知らないわけだが、
知ることもないかなと思う。

理由を知ったところで戻ってくるわけじゃないし、環境が変わるわけじゃない。
それに、俺には泣いたり、悲しんでる暇はなかった。

父さんが死んで母さんがずっと泣いて、悲しんでばっかしだったからだ。

そんな、母に代わり俺は大人に振舞わなければなかった。

そして、父が死んであまり時を経たずとして、この町に来た。
かつての悲しみに溢れた町から逃げるように。

でも結果的には、それが功を奏したと思う。

この町に来て、母は笑顔を取り戻して、俺は友達が出来て。
友達と一緒にいると楽しい。
時を忘れるぐらいに。


そうして今に至る、と。
以上分かりやすい回想、終わり。


「それで、どうなの。竜也は力が欲しい?」


父から受け継いだ、剣の才能。
もし、それが俺にあるとすれば、今士郎さんや恭也さん、美由紀さんに剣を教わっていることで力を手に入れるだろう。

元々は興味本意。
いや、今も興味本意で習っているに過ぎない。


そして今度は母から受け継いだ魔法の力。
全く実感の持てない話。

それでも、母さんは俺にはその力があるという。
興味はある。

自分の知らない未知の力に。
知らなかった新しい世界に。

話を聞いてる限りでは簡単に触れていい世界ではないようだった。
だけどそれでも、今は興味があると言う回答しか得られなかった。


「母さん」

「何? 決まった?」

「興味はある。力がほしいとか、そういう意味じゃなくてただ単純に魔法に興味がある。
だから、魔法を教えて欲しい」

「そう、でもその魔法は何れは力になるわよ。それでも?」

「今は分からないけど。でも、必ず答えは見つけるよ」


そう、今は分からない。
自分の魔法を使った未来像が、刀を持った未来像が。

どんな生活をしている未来なのか。

だから、答えは先延ばしにするしかなかった。


「そう、分かったわ。とりあえずは、魔法の使い方は教えてあげる」

「ありがとう」

「ううん、これぐらいは当然。でも、これだけは覚えておいて」


そういうと、真面目な顔になる母さん。
今ままでも十分に真面目だったのだが、それ以上に。

そして、そこからは圧迫感と緊張感も伝わってくる。


「使い方は教えるけど、使い道は自分で見つけないさい」


使い方は教えるけど、使い道は自分で見つけろ?
いまいちその違いが分からない。

そんなことを考えていると言葉を付け足した。


「使い方と言うのは魔法を扱うこと。いわば技術ね。使い道は魔法を使うこと。いわば精神よ。
どうやって使うかはこれから私がみっちり教えてあげるけど、何に使うかは自分で考えなさいと言うこと。
そうね、使い道が決まるまでは防御魔法と補助魔法を基本的に教えていくわ。覚悟しなさいね」


覚悟しなさいねと言ったときの目のぎらつき様が半端なかった気がするけど、
気のせいだと思いたい。


「じゃあ、早速トレーニングと魔法の勉強よ。
初めてだから今日は素質を見るために、色々やるからハードになるわよ」


今日はなんかハードな一日だな。

ああ、そうだ。聞かなくちゃいけないことが……


「母さん。夏休みの予定ある?」

「特にはないわよ。毎日修行以外には」


何気にハードスケジュールな気がする。
けど、まぁいいか。


「そっか、分かったよ」


なら、夏休みは予定通り、なのはたちとお泊り会になりそうだな。
でも、改めて考えるけど男一人でいいのかな?

まぁ深く考えてもしょうがないけど。


「じゃあ、トレーニングルームに行くわよ」

「え?トレーニングルーム?」


初耳なのですが。
てか、ここアパートですよ?


「そう、この日のために地下に勝手に作ったトレーニングルームよ。
大丈夫、結界張ってるからばれるようなへまはしないわ」


そういう問題なのだろうか。
相変わらずスケールのよく分からないは母だった。






─愛子SIDE


竜也に、剣の才能があったときは驚いたわ。
魔法の才能があるのは、生まれたときすぐにリンカーコアを確認できたから分かったけど。

剣のほうは詳しくは分からなかったからね。

今日は早速魔力値とか、魔法の特性を測ってみたんだけど、
血は争えないわね。奇しくも私と同じかそれ以上の魔力値。

魔力値はSランクはあるんじゃないかしら、この子。

魔力の最大出力を測れてないから、正確には言わないけど、
まぁ第一級の力は持ってるわね。


そして、その魔法の才能だけど。

補助魔法・防御魔法・攻撃魔法どれをとってもトップクラスの資質。
ただ、どれか一つが特化してるわけじゃなくてオールラウンダータイプね。

元々魔力はあるから、育て方次第では幾らにでも化ける。
私の子ながら恐ろしいわね。

でも、とりあえずは補助と防御を極めようかしらね。
攻撃は基礎程度にして。

デバイスは……まだ早いわね。
最初のうちはデバイス無しでも魔法を使えるように教えていきますか。

本当にこれは育てがいがありそうね。
たぶん、成長していく様子も分かりやすいだろうし。

さぁこれから忙しくなるわね、ふふふ。


「ちょっと、母さん怖いよ」


そう言って、少し怯えるかわいい私の子。
嫌だわ、ついつい素が……


「この後はどうすればいいの?」

「そうね、これからは魔法と学校を二つをまとめて勉強しなさい」

「二つの勉強を同時にって、それは無理だよ」

「そうね、普通なら難しいけど。魔法を使えばいいのよ」


まずは日常から魔法を使って慣れていくこと。
そうすれば、魔法を日常に感じることが出来るようになって使うことに繋がる。


「う~ん、よく分からないけど、まぁ頑張ってやってみるよ」


まぁ最初のうちは難しいだろうけど、
たぶんこの子ならあっという間にものにすると思う。

だから、使い方はマスターできる。
問題は使い道、よね。

竜也自身は、まだ力を興味本意だけで手に入れているに過ぎない。

確かに興味を抱いて、それを手に入れようとするのは大切なことだけど、
使い余した力ほど危険なものはない。

使い道が分からずに、危険なことに手を出すことだって、利用されることだってある。
それだけは何としても防がなければならない。

だからこそ、竜也は知らなければならないことが、
教えなくちゃならないことがたくさんある。

それに竜也は、力を持ってるがゆえに、才能があるばっかしに苦労することが多くなると思う。

それはきっと、常人には理解されないもので。

理不尽なもので。

でも、それを知ることになるのはもっと先の話。

それまではただ、ありのままに生きて欲しい。

……違うわね。

そんな現実とぶつかってもありのままに生きて欲しい。

例えどんな壁があろうとも、ありのままに……

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