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小説挑戦


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ありのままに─第8話─

時刻はお昼過ぎ。
俺が起きてからまだたった2時間しか経っていないのだが、
異様に長く感じる2時間であったのは確かだ。

起きたらアリサが居て、なのはを呼んで。

なのはが泣いて、慰めて。

もうなんか夏休みってこんなにハードなの?

まぁそんなことは置いといて、もうお昼か……

ぐぅ~、と誰かのお腹の虫がなる音がした。

全く空気の読めてないやつだな、そいつは。
まだなのはが完全に立ち直りきってないのによ!

…………

まぁ俺なんだが。


「あんた、場の空気を読みなさいよね……」


「はぁ」とため息混じりに、俺への空気読めない宣言。
俺が空気を読めていないというよりは、俺のお腹がなのだが、
そんなことを言えばアリサがまたうるさくなりかねないので、ぐっと我慢だ。


「にゃはは、ごめんね。竜也君。せっかく呼んでくれたのになのはこんなんで」

「別にいいけどさ。まぁあえて言うならあまり溜め込むなよ?
俺もアリサもいるんだし相談に乗るからさ」

「そうよ、いつもでも言いなさい!」


やはり、こういうときに頼りになるのはアリサだよなぁ、と改めて認識。


「それに、すずかだってい……あ」

「「あ」」


なのはを呼ぶことばっかし考えてて、その後は慰めてたからすっかり忘れてたよ。


「どうする? すずかも呼ぶ?」


一応同意を求めてみる。

俺たちが集まってるのに、すずかだけのけ者ではかわいそうだしな。

それに仲良し三人娘だから即答でいい返事が来るだろう。


「今日はいいかな」

「そうね、すずかはまた今度ね」

「え? 」

「どうしたの? 竜也君そんなに驚いた顔をして」

「いやいや、当然の反応だと思うよ?」


いつも一緒にいる3人娘。
なのは、すずか、アリサのトリオが解散の危機である。


「当然って、別にいつだって三人でいるわけじゃないわよ。
仲がいいのは事実として、ベッタリという訳じゃないんだから」


その言葉を普段の自分たちを映した鏡に言ってみてください。
もしくは、同じクラスメイトに……

みんな俺と同じかそれ以上に驚くと思うよ?


「まぁいいか。俺も少しお腹が空いたから台所から軽く食べられるもの持ってくるよ」

「お願いね」

「まぁ特に弄るものとか遊ぶものとかないけど、ゆっくり待っててくれ」


さて、台所に何かあったかな。
お菓子とかじゃあ、お昼にはあれだけど、
まぁ最悪の手段お菓子でもいいか。

近くのパン屋でお惣菜パンでもいいかなぁ。

そう思いながら台所に行くと、母さんが料理を作っていた。


「あれ? アリサちゃんたちは?」

「部屋で待っててもらってる」


そういえば、この母は俺が寝てるにも拘らずにアリサを部屋に上げたのだろう?


「母さん─」

「それはね、アリサちゃんがあまりにも焦りながら来たから、かわいくってね」


明らかに楽しんでる、面白がってる口調だった。
そう思われた、アリサもたまったものじゃないだろうな。


「それにしても、アリサちゃんだけじゃなくてなのはちゃんまでねぇ。
さすがお父さんの血を受け継いでいるというか、やる子ね竜也。」


いまいち言葉の節々に分からないものがあるのだが……
まぁこの母の言動にいちいち気にしてたら切りがないしね。


「それで一体何を作ってるの?」


この母はまぁ料理はできる方ではある。
そのため、最初こそは冷蔵庫すらなかったが、今はちゃんとある。

それでも、必要最低限の電化製品という言葉が後に付くが。


「お昼だから、なのはちゃんたいにも食べやすいもの。
あっさりして、夏に食べ物といえばあれしかにでしょ?」


あれしかないな。

風鈴と同じぐらいの夏の風物といっても過言ではない食べ物。


「「そうめん」」


まぁ確かにそれなら、なのはたちでも食べやすいだろうし、手ごろだね。


「盛り付けの用意するから手伝って。それが終わったらなのはちゃん達呼んできてね」

「了解」


こうみてても母と二人暮らしがもう板についているので、料理の手伝いとかは普通にするようになった。
料理って意外と楽しいしね。

そういえば、今頃なのはたちどうしたんだろう……




─アリサSIDE


竜也が食べ物を持ってくるといって、この部屋に残ったのは私となのはだけになった。

今日のなのはには、私ですらも驚かされたわ。

息切れしながらここに来たと思ったら、服には泥が付いてるし、
一体どれだけ焦ってたのよ。

そして、そのなのはに対する竜也の反応と行動。

一体どういうことなのよ、あれ?
私の時には優しさのかけらもないじゃない!

あ…でも、少し優しくされたわね。
本当にあのときの竜也は優しくって私は嬉しかったのに。

それなのに、なのはにも?

そうなんだ……竜也って誰にも優しいのね。

って、何一人で納得してるのよ、私。

ああ、もう!
なんか今日ずっとこんな感じだわ。
何でかしら、ホームじゃないから?

そうね、きっと私の家じゃなくて竜也の家で、ペースをあいつに握られてるからだわ。
別に悪い気はしないけど。

もっと優しくしてほしいわねってそれも違うわよ。


なのはは竜也に抱きついちゃうし……なんで、私が取り残されてるのよ。
べ、別に羨ましくはないけど……


「竜也君居なくなったからお話しようか、アリサちゃん」


不敵な笑みを浮かべながらこちらを見つめてくる、なのは。
なんか軽く背筋が凍るものがあるわよ。

普段のなのはからは想像できないわね。


「何の話かしら?」

「うん、なんで一人で勝手に竜也君と会ってるのかな?って思ったの」


一人で勝手にって、別に会うのに許可は要らないでしょ。

それに会いに来た理由は、

心配だったから……なんて言えない、口が裂けても言えないわ。


「別に、会いに来たのは暇だったからで─」

「暇だと竜也君の家に遊びに来るの?」


墓穴を掘ったかしら……
これじゃあまるで、理由もなく会いたいから会いに来たみたいに聞こえるわね。

守りじゃ不利だわ。
なら逆に攻めるてやるしかないわね、いつも通りに。


「そんななのはこそ何しに来たのよ?」

「え、なのはは竜也君が心配だったから来ただけだよ?
アリサちゃんと二人きりだったて言うのもあるけど……」


最後の方は声が小さくて聞こえなかったわ。
でも、そういうことを平然と言うのよね、この子。

これは、どう切り返しても私の分が悪いじゃない!


「それで、アリサちゃんは? なのは答えたよ?」

「う、そ…そうね」


まずいわね。
なのはに押されっぱなしだわ。

何とか話をそらさないと……


「竜也は一体どんなお昼ご飯を用意してくれるのかしらね」

「え…そうだね、楽しみだね」


よし、上手く乗ってきたわね。
後はこのまま押し切るま─


「でも、それは後でのお楽しみとして、アリサちゃんはどうなの?」


今日に限って、引き下がらないわね。
むしろ、私が押されてるわ。


「アリサちゃん、私ね。前にアリサちゃんとけんかしたときに分かったんだ」

「けんか、ね」


あの時は本当に大人気なかったというか、
恥ずかしいわね、今思い出してみると。

あれじゃあ、ただの我侭なお嬢様じゃない。


「言葉だけじゃ伝わらないこともあるって」

「そうね、確かにあるわね」

「だからね、アリサちゃん。ちゃんと教えて、その為にお話しようよ?」


なのは……なんか最後のお話の部分に迫力というか、
殺気に近いものを感じたわよ?

さすがの私でも後ずさりするぐらい……


「アリサちゃん、お話しようよ」

「ま、待ってなのは。なんか怖いわよ」

「怖い? アリサちゃんはおかしなこと言うね。
なのはこんなに笑いながらお話しようって言ってるだけなのに」


その笑みが怖いのよ、なのは。

この状況をどうすればいいのかしら……
このままじゃ私がやられるわ確実に!


「ご飯の準備が出来たぞって……なんか、やばい雰囲気だった?」

「あ、竜也君。お帰り♪別になんでもないよ? ね、アリサちゃん」

「え? そ、そうね。別に普通よ」

「ならいいけど。ちょっと台所まで来てくれ、お昼ご飯を食べるぞ」

「うん、分かった。行こう、アリサちゃん。お話はまた今度ね」


この状況を切り開いてくれたのは竜也だった。

本当に助かったわ。

これは感謝しても切れないわね。
今度お礼もしなくちゃ駄目かしら?

それにしても、なのは……化けるわね、将来的に。
何かの片鱗を垣間見た気がするわ。

その上、さっきまでの殺気が竜也が来た瞬間になくなったもの。

なんなんのよ、その切り替えの早さ。

一体なのはは私に恨みでもあるわけ?
まぁいいわ、また今度お話とか言ってたけど、二人だけにならないように気を付ければいいだけだしね。

竜也がいれば、平気みたいだから竜也の近くにいてもいいわね。

うん、それがいいわ。これは、私が自分の身を護る為だからしょうがないわね。
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