FC2ブログ

小説挑戦


未分類

ありのままに─第9話─

そうめん。
それは日本の夏という季節において大活躍をする食べ物。

そうめん。
それは日本の夏の風物といえるほどの食べ物。

そうめん。
あまりに手ごろに作れてしまうので、夏場ではよく出てくる食べ物。


「なんで、期待したお昼がそうめんなのよ!」

「そうめんを悪く言うなあああああ!!」


偉大な食べ物なんだぞ、そうめん。


「まぁまぁ、アリサちゃん。でも、なのはも少し期待はずれだったかな?」

「家の食卓に何を期待してるんだよ……」

「だって、ねぇ? なのは」

「だよね、アリサちゃん」


二人で顔を見合わせてお互いの気持ちを確認し合っている。

というより、何を期待したんだ? この二人は。


「竜也君が腕をかけて作ってくれると思ってたから」

「その発言は俺じゃなくて、母さんに失礼だぞ?」

「いいわよ、竜也。ごめんね、なのはちゃん」

「いえ、そういうわけじゃ…」

「今度は竜也に作らせるわ」

「是非、お願いします」


作らせるって……

そして即答するな!アリサよ。

本人の意思は関係ないのでしょうか?

料理は愛情が大切なんだぞ?
無理やり作らせても駄目だぞ。


「それにな、アリサ」

「何?」

「そうめんって美味しく作るの難しいんだぞ。
そうめんってよくめんが絡み合ってて食べにくいだろ?」

「そうね、あれって結構嫌なのよね」

「うん、あれはなのはも苦手かも」

「それを解決する為の工夫がこれにはされているんだぞ?
実際にそうめんを取ってみれば分かると思うよ」


そういうと二人はテーブルの中央にある、そうめんの入ったざるに手を伸ばし、そうめんを取った。


「あ、すごい取りやすいよ」

「しかも、そうめんがある程度束になって食べやすいし」

「そうだ、そうめんを茹でる前に束になった状態で紐で結ぶことによって、絡み合うのを防いだというわけだ」

「い、意外に料理上手だわ……」

「作ったのは、母さんだけどね」


この作り方を教えたのは俺というか、
とある美味しい漫画に載ってたやり方を真似しただけだけどね。

あの漫画見ると、ついつい試したくなるから不思議だよねー


「そして、つゆには鶉の卵お好みでどうぞ」

「うん、使ってみるね」

「無駄にそうめんにこだわってるわね」


なのはは楽しそうにそうめんを食べてくれるのだが、
アリサはどこか呆れたといった感じだった。

しかも、無駄って……

し、しょうがいじゃん。
去年の時とか母さんが楽だからって、ほぼ毎日そうめんだったから、工夫して食べないと飽きるんだよ。

そういった立派な経緯があってこうなったんだから、無駄じゃない。
むしろ必死だ。


「そういうなら、アリサは食べなくていいぞ。せっかく俺も手伝って作ったのにそういうなら」

「え……た、食べないだなんて言ってないわよ!
そんなに、食べて欲しいんなら食べてあげるわよ」

「別に食べて欲しいなんて思ってないから、食べなくていいぞ?」

「う、うるさいわね。竜也の作ったそうめんが食べたいです!これで満足かしら?」


何故そのセリフを言うのに、顔が真っ赤になってるかは知らんが……

まぁいいか。
食べてくれるみたいだしね。


「ああ、満足」

「たく、何で私がこんなことを言わなくちゃ……でも、無駄に美味しいし」

「何か言った?」

「なんでもないわよ。美味しいだなんて思ってないわ」

「ふむ、その発言は母さんに失礼じゃ……」

「あんたに言ったのよ!」


いやいや、明らかに作った人に対する侮辱でしょ?
俺は手伝っただけで、ほとんど作ったのは母さんなんだし。

そして、その侮辱の言葉を言われた母さんだが、
さっきからずっとニコニコしてて、逆に怖いというか不気味だ。

まるで、俺達のおしゃべりを楽しんでるような……

そんなことを思いながら母さんを見てると、目が合った。

そうすると、少し悩む素振りをした。


「あら、私邪魔かしら?」


邪魔って何の?
まったく、相変わらず素っ頓狂なことを言う母だ。


「そうね……あ、母さん急用思い出したから、ちょっと買い物行って来るわね」


そう言うと直ぐに身支度を整え、あっという間に家を出た。
そうなると、家に残されたのは俺となのはとアリサだけになった。

急用って何だよ。
しかも去り際の、空気読んでるわ私、的な顔はなんなんだ?

非常に腹がたつ顔だった。
なんか、してやったりみたいな雰囲気だったし。

残った三人は呆然としながらも、とりあえずは目の前にあるそうめんを食べようと思い、
ズズズッというそうめんをすする音だけがしばらく部屋に響いた。






そうめんを食べ終わり、再び俺の部屋と戻ってきた、三人。
しかし、やることがない。

俺の部屋には……もういいか。
何もないから遊び道具すらも……


「あ、麻雀ならある」

「なんで4人いないと出来ないものがあるのよ!」

「いや、父さんが好きでさ~」

「あれ? 竜也君ってお父さん入れても3人だけなんじゃ」

「そうだよ。しかも、母さん出来ないから一騎打ちだったなぁ」


懐かしいな。
父さんと麻雀を打った日々。
全然役覚えられらなくて、ぼろぼろにされてたけど……

父さんは相手が弱いのに楽しそうだったなぁ。
『なんだ、竜也それじゃあ、終わってしまうぞ。』とか言ってからかいながらも、
手加減無しでやるんだもんな~

大人気ないと思うけど。


「か、悲しすぎるわ」


アリサが俺に同情して、なのはがにゃははと失笑。
まぁ仕方ないね。


「でも、本当に何もないわね。一体どんな生活してるのよ?」

「そうだよね。なのはの家に来ても剣術の練習とご飯食べて、なのはとしゃべるだけだし」


ふむ、そういえば俺はこの家で何をしてるんだろう……
少し考えてみようかな。

剣術の鍛錬のために朝早起きして、なのはの家へ。

そのまま学校行って、終わったらなのはの家で再び鍛錬。

その後は、食事とお風呂入れてもらって、なのはの部屋に行ったりする。

ある程度時間が経ったら家に帰って、勉強して、就寝。

あ、でもこれからは魔法の練習と勉強もあるから、寝る前に付け足して……


「うん、この家では寝る直前までいないね。起きたらすぐになのはの家だし」

「あ、あんたね。それじゃあ、家としての機能ほとんどないじゃない!」

「竜也君はいつもなのはの家にいるからね、竜也君専用の場所もあるくらいだし。
そう考えると、なのはといつも一緒だね。竜也君」


ちょっと嬉しそうに、そして勝気にいうなのは。

確かになのはの家にいることが多いから、なのはとは必然的に行動が一緒になるんだよな。
そのせいか、この部屋もとい家に何もないのは。


「さすがにそこまで聞くと呆れるわね。あんたにもそうだけど、あんたのお母さんにも」


今日、何度目か分からないアリサのため息交じりの口調。
ため息が妙に似合っているように感じるのは気のせいだろうか。


苦労人なんだな、アリサは。

「あんたのせいでしょ!?」

「俺がいつ苦労させた!?」


あと、心を読むのも止めてほしいかな。


「昨日から……」

「昨日から、何?」

「なんでもないわよ」


昨日からの続きが気になるけど……
まぁ無理に言わせてもしょうがないか。


「そういえば、なのははなんで慌ててきたんだ? ここに。
確かに誘おうとしたのは俺だけどさ」


なのはを使ってアリサとの気まずい雰囲気から脱出しようとしたが、
その話をする前にここに飛んできたからな。


「あ、うん。竜也君が昨日ずっと連絡がつかなかったから、心配してきたんだよ?」


そういえば、なのはからも着信あったもんなぁ。

それで、心配して家にまで飛んでくるって……

まぁ嬉しいんだけどさ。
そこまで心配してくれるのはね。

ただ、心配しすぎじゃないか?
たった一日、もないか。半日連絡がつかないだけで……


「まぁありがとうな、なのは。心配させたようで悪かった」

「うん。別にいいよ」


そういうと満面の笑みをみせてくれた。

その笑みは俺には眩しすぎて、真っ直ぐ見るのは厳しい。

で、でも、かわいいからついついちら見を……

─チラッ
──キラキラ

や、やばい。

─チラッチラッ
─キラキラキラ

まるで子猫のような、純粋な瞳とか……
……中毒になりそう。


「い、いつまで二人でいちゃついてるのよ!!」

「え…あ、うん。ごめん、アリサちゃん」

「ど、どうしてそこで謝るのよ!」


あ、終わってしまった……残念。空気読めてないな、アリサは。
ってそうじゃないだろ、俺は。


「そ、そうだぞ、なのは! 危うく……」

「え、竜也君まで!? 危うく?」

「いや、なんでもない」


危うく見惚れるところだったとは言えないよな。
でも、あのなのはかわいかったなぁ。

いつまでも、こんななのはでいて欲しいな。


「まったく、あんたたちは」


アリサがまたため息交じりの……

アリサは本当に苦労人だね!


こんな感じでずっとしゃべってたら、あっという間に時間が過ぎていった。


「じゃあ、今日はもうこんな時間だし帰るわね。また明日来るわ」

「じゃあね、竜也君。明日来るね」


うん、いつ来てもいいとは言ったけど、明日すか……
それになのはには、明日からまたなのはの家で会うと思うんだけどな。

まぁいいか。
二人も今日は楽しんでもらえたみたいだし。


「ああ、じゃあまた明日。楽しみに待ってるよ」



一応玄関までは見送った。
外にリムジンが駐車してあった気がするが、気のせいじゃなかっただろう。

時刻はすでに夕方。
さて、そろそろ魔法の練習でもしようかなと思った矢先にケータイがなった。

どうやら、電話のようだ。

電話の相手が誰かも確認せずにとりあえず通話に出た。


「もしもし、相沢達也です」

『ケータイにかけてるんだから、竜也君以外が出たらビックリするなぁ』

「うん? その声は」

『昨日メールも電話もしたのに返信がないからこっちから電話したんだよ?』

「はは、ごめん。すずか」


アリサ、なのはの次はすずかですか。
本当に忙しいなぁ、夏休み初日。
関連記事
  ↑記事冒頭へ  
←ありのままに─第8話─    →ありのままに─第10話─
*Edit TB(0) | CO(0)

~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←ありのままに─第8話─    →ありのままに─第10話─