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小説挑戦


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ありのままに─第13話─

季節は夏。

夏休みらしさといえば、蝉であるが、蝉の勢いは序盤比べるとさらに増し、
それと比較するように気温も高かった。

何が言いたいかというと、とてつもなく熱い。猛暑である。
今年は例年に比べても暑いらしく、海水浴場はどこも大賑わいとのこと。

また、それと同じように某地域のサマーなランドも大繁盛のとのこと。
海鳴市は海が近い、というより名のとおり目の前には海があるのだが、海水浴場というわけでもないらしい。

泳いでみればどこも変わらないと思うのだけど……

こんな暑い中は、風鈴の音とちょっとした生暖かい風とアイスに癒される。


夏休みは中盤。

序盤もかなりのペースで鍛錬・修行・勉強・遊びと毎日繰り返していたのだが、
相変わらずその勢いは止まらず。

未だにそんな毎日を送っている。

この間なのはの家に泊まったときに、餌付けをしようと思ったすずかだが、あれ以来やってくれない。
実に悲しいものだ。

かわいかったのに……

それに対し意外と言うか、アリサは実はやってくれたりする。
10回に1回ぐらいのペースだが。

それでも、新鮮味はなくならず。
いつ見ても聞いてもかわいい、というかかわいすぎる。

そしてなのはだが……
更なる餌付けに今挑戦している。

お手やおかわりはすでにお手の物で、今はマテまで習得済み。

これは将来のなのはが楽しみでしょうがない、と言うのはここだけの話。


剣の鍛錬は相変わらずと言った感じだ。
それは進歩をしていないというわけでなく、徐々にだが伸びている……と思うということ。

あくまで、そう周り─恭也さんなど─が言ってるだけだ。

魔法の方はと言うと目に見える形で成果がでてきた。
母さんの攻撃を食らっても簡単に防御が破られることもなくなったし、
回避も出来るようになった。

また、ある程度の怪我なら自分で治せるようになったことだ。

こういった、目に見える形で自分の努力が分かるというのは、余計に力が入り、気合も入るというものだ。

気合が入ったのは俺だけじゃないようだけど……

最近では母さんと目が合うと自然に体が回避行動を取るようになった気がする。

そして、魔法の勉強だがこれもいいペースと言えると思う。
ただ、覚える量がかなり多くまだまだ終わりそうにない。

それに引き換え、学校の宿題は毎日やってたせいか、はたまたおかげかで自由研究を残して終わってしまった。

今は、自由研究を何にしようかと悩んでいるところだ。


時期はお盆。

お盆と言えば、墓参りである。

家の家庭も大黒柱であった、父さんが死んでしまったので、その例外なく墓参りに来ている。

場所はど田舎というわけでもないが、
山あり谷ありの海ありで、観光地と言うわけではないがこれぞ田舎!と魅せてくれるものがある。

たまにはこういう雰囲気も大切だ。


そして、来ている面子は、
うちの家族、つまりは、俺と母さん。

そのうえ親戚である、なのは一家と……


「なんで、私たちまで来ることになるのよ」

「まぁまぁアリサちゃん。せっかく御呼ばれしたんだから」

「そうは言っても、竜也のお父さんの墓参りよ? 私達ほとんど関わりないじゃない!」

「まぁその通りだと思うよ」


なぜか、アリサとすずかである。

理由は至極簡単。


「家の主人は賑やかな方が好きな人だったの。
だから、竜也がいつもお世話になってる、すずかちゃんとアリサちゃんもご一緒にってね。
迷惑だったかしら?」

「いえ、そんなことありません。ね? アリサちゃん」

「そう、ね。せっかくだからお参りさせてもらいます」


と、母さんが勧誘してあっさり承諾して一緒に来たと言うわけだ。
来てからもぐちぐち文句を言ってるアリサだが、もういちいち付き合うのは面倒なのですずかに任せきりだ。


「竜也?」

「なに、アリサ」

「一つ気になったけど、あんたのお父さんってどんな人だったのよ?
あんたから話をしてもらったこと一度もないから……」

「そう……だったかな」


俺の父さん、相沢真也。

死後に知った話だが、御神流の使い手の一人でかなり腕利きだった。

仕事は何をやってたかは、知らない。

聞いたことはあったがあまり理解できるような仕事ではなかったような気がするし、
記憶もあやふやなので分からない。

性格は基本的には熱い人。
何事でも本気を出し、誰が相手だろうが完膚なきまでに叩き潰す。
それが自分の息子であっても。

一緒に遊ぶのが一苦労だった。
遊んでもらうと言うよりは遊んであげたみたいな感じだった気がする。

そして、自由気ままな感じがした。
感じがしただけで、俺から見れば自由とは程遠いような気がしたけど。

自由奔放、その言葉が似合う人だったと母さんは言っていた。
きっと、昔は無茶をしたんだろうなと思う。

これが俺の知っている父さん。
ほとんどの記憶があやふやでよく覚えていないが、
母さんいわく、今の俺は父さんに似てきているとのこと。

顔がと言う事ではない。
顔はどちらかというと母さん似でよく髪を伸ばせば男の子かどうかも分からない。

よって、性格面とか生き様のことを示す。

『ありのままに』確か父さんと母さんが俺に望んだ生き方。
俺自身もそれを意識しているわけではないが本能のままに生きていると思ってる。


「わからないな」

「何よそれ……」


呆れた口調で言うアリサ。
何よそれって本当に分からないのだからしょうがない。


「あんたって意外と達観的というか客観的よね」

「そうか? 結構主観的だと思ってるよ?」


言い換えれば、自己中ということになるけど。


「私達とか一部の人間にはね。少なくとも私にはそう見えるって言いたかっただけ。
あんた興味ないことは反応示さないもんね」


確かに、興味ないことには見る気もしない。
つまらない。
その一言で終わる。

だから、興味あること・ものや興味ある人には積極的にいくっていうのかな?
まぁそんな感じだね。

自分から動くとでも言うのだろうか。


「そうだよね。学校でも竜也君って私達以外とほとんどしゃべらないもんね」

「あまりしゃべらないだけで、よく絡まれるけどね」


教室の中では英雄扱いだしね、俺。
とくにあの4人組がもう……

とんだ迷惑だ。
楽しいからいいんだけどね。


「そんな話をしている間についたぞ」


目の前は俺の父さんの墓である。


「ふぅん、普通の墓ね」

「当たり前だろ、何を期待したんだ?」

「あんたなら、とんでもないおちを作りそうじゃない? 古墳とか?」


そっちか……
俺はてっきり墓に刀が一本突き刺さってる風景を思い浮かべたぞ。


「そういう問題じゃないと思うんだけど……」


すずかはいたって冷静なようだ。


「二人はそこで見てて、と言うのもおかしいな。待っててくれすぐに掃除して綺麗ににするから」

「私も手伝うわよ?」

「いいよ、というかやらせて欲しい」

「そう…分かったわ」


せめてもの、だよ。
短い期間でしか、一緒にいられなかったけど、大した思いでもないけど。
そのぶんの……ね?

そう思いながらせっせ、せっせと母さんと雑草やら墓の掃除をした。

二人で効率やったおかげで、ものの数分で終わった。
もともと大して荒れてなかったというのもあるが。

そして、墓の前に立ち瞳を閉じ、父さんの自分の思いが届くように願う。

俺も剣術始めたよと、魔法も出来るんだ、と。
たくさんの友達にも恵まれて、今も幸せだよ。

だから、安心して見守っていて欲しい、と。

目を開ける。

さっきまで近くにいたはずのすずかとアリサがいなかった。
少し周りを見渡してみると、隣で母さんが泣いていた……

こういう時ってどうすればいいのかな?

父さんが死んだばっかしのころは好きなようにというか放っておいたのだけど……


「竜也」


涙声だった。


「何?」

「夜には予定してた宿に戻るから先に戻ってて。場所分かるよね?」

「……了解」


一人になりたい。
そういうことなのだろう。

俺はその場からゆっくり離れていった。



墓場の出口付近に、目立つ金髪発見。
どうやら、二人も空気を呼んで退散したみたいだった。


「待ってたわよ。結構長く拝んでたじゃない」

「まぁね、それなりに報告があったからさ」

「そう、じゃあこれからどうするの?」

「宿でなのはたちと合流かな。高町家は明日墓参りするみたいだから」


ここまで来るのは一緒だったが墓参りは別行動だった。
なので、なのはたちが先に宿に着いて、俺達の帰りを待っている状態だった。


「そうだね、じゃあ宿にいこっか」


三人でのんびりと宿に向かって歩き出す。
今度ここに来るときは、一回忌のときになりそうだ。



「え、じゃあ今はなのはちゃんと桃子さんだけなの?」

「うん、竜也君たちが来るの待ってたの」

「それはご苦労なことだね」


宿について待っていたのは高町家の末っ子のなのはと桃子さんだけだった。

上の兄妹は、近くにいいサバイバル環境があるから、修行に行ったという。
士郎さんはそれの付き添いだそうだ。

熱心なことだ、見習おうとは思わないけど。

そこに山があるから、サバイバルってどこの軍人なのかな?
蛇とかきのこでも食べそうだ。

カ○リーメイトも空気を読んで落ちてんるじゃないのだろうか。

でも、美由希さんは嫌がったんじゃないかな?
あの人ああ見えて普通に近いし。


「それでどうするのよ?」

「どうするって?」

「まだ、お昼過ぎよ? 暇じゃない」


そういうことか。
早朝に家を出て、まだお昼の時間。
今日が終わるにはまだまだ時間がある。

そして、ここは田舎だ。

海とか山や墓はあるけどね。


「えっとね、竜也君!」

「ん? 何なのは?」

「なのは海に行きたいの」


海、ね。
確かに今日は暑いし海水浴にはピッタシだろう。

しかし、残念ながら水着は持ち合わせてはいなかった。


「ふふふ、竜也君甘いわね」

「え?」

「そんなこともあろうかと、これを持ってきたのよ」


さぞ誇らしげに言いながら手から出したものは……


「ビーチバレーボール?」


なぜ、水着じゃないんだ!?
このタイミングは水着じゃないのか!?


「面白いわね。」

「アリサ!?」

「竜也、勝負よ!」


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