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小説挑戦


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ありのままに─第14話─

とある県のとある田舎。
という言い回しはへんだとは思うが、実際にここは田舎であるのだから仕方ない。

田舎といえば、思い出すゲームがいくつかあるね。
そのゲームからも思い浮かばせるのが、田舎ならではの雰囲気だと思う。

例えば、川があって、虫がいて、海があって、山がある。
人には温かみがあって、都会にあるはずのものがなくてなど。

いくらでも連想が出来る。

そういう意味でも、俺の父さんの墓があるここも思いっきり田舎の範囲に入る。

そして、今現在海に来ている。
ビーチバレーボールをやるためにだ。

有名どころの海水浴場と比べれば、貧相なものに見える。
だけど、俺の予想以上に活気があった。

田舎の海水浴場など地元の人しか来ないと思うのだが、
人はけっこう来ている。

どうやら、イベントがあるみたいだ。
とある人に聞いたところ「ガンダムのプラモが……」とか言ってた気がするけど、
別段興味あることでもないのでスルーをすることにした。

あくまで、目的はビーチバレーボールである。

なぜ、そうなったかというとなのはの海に行きたいという願いと、
桃子さんの微妙な気の配りようと、アリサの勝負魂に火がついたからである。


「勝負よって、具体的にどうするの?」

「何を言ってるのすずか? 竜也と勝負をするに決まってるじゃない!」

「なぜ当然のことのように言う……」

「この間の恨み……」


この間、と言われてもいわれのない恨みだと思う。
俺には何のことかサッパリだ。


「ドッチボールのことじゃないかな? かなり根に持ってたよ」

「ああ、不意打ちしたやつか」

「そうよ! 今日はその雪辱戦よ!」


雪辱って……アリサ的にはそうとう悔しかったのか?
俺、あの時に卑怯呼ばわりされてたしなぁ。


「じゃあ、やってもいいけど。ただ勝負するのじゃつまらなくないか?」

「そうね、私が勝ったら一つなんでも言うことを聞くでどうよ」

「それって普通男が女に求める要求じゃ……」

「う、うるさいわね!いいのよ! であんたは?」


俺も同じことでもいいと思った、が。
それじゃあ普通すぎる。

なので……


「アリサが今日一日猫化、ってのはどう?」

「な……」


アリサ猫はとてつもなくかわいいからなぁ。
素っ気無いところとか最高だ。

そして、そのときに赤くなる顔ときたら……


「わ、わかったわよ」

「よし、じゃあコートは……あった」


なんとも都合のいいことにそこには、
俺たちが使うのにちょうどいいくらいの大きさのネットとコートがあった。

空気の読めるビーチである。


「じゃあ、チームわけね」

「は?」

「すずかと竜也が一緒だと下手したらプロでも勝てないから合わせられないから、
私とすずかペアとなのは竜也ペアの一択で決定ね」

「一対一じゃないの!?」

「あたりまえじゃない。あんたと一対一でやったらすずかでも勝てないのよ?」


プロでも勝てないって……俺もすずかもそこまで人外じゃないよ。

それに、それはドッチボールでは、じゃないのか?
ビーチバレーボールと言うことは、バレーの実力はもちろんのこと。

地面が砂場なのでバランス力もそして体力も大切になる。

それに、二対二となるとチームワークと仲間も実力も……

そして、そもそも、アリサは運動が決して苦手と言うわけではない。
そのうえすずかとのコンビネーションはドッチボールのとからでも完璧だ。
文句のないペア。

それに対して俺となのは。
俺はバレーこそ少しやったけど、基本的には初心者。
まぁ相手もどれほどの実力かは分からないからそこは問題ないとして、ペアが……


「どうしたの竜也君、ずっとなのはを見て」

「はぁ」

「にゃ! どうしてそんなに深いため息をするの!?」


そりゃあ、ため息の一桁や二桁はしたくなるものですよ。


「多くない!?」


気のせいだ。

なのはは泣く子も黙るほどの、いや、泣く子が泣き止むほどの(同じか)
運動音痴である。

多少大げさな言い方かもしれないが、でも運動音痴ではある。

徒競走をすれば途中で転び、ドッチボールをすれば顔面強打。
バレーをすれば……アタックの標的?

そんな彼女が同じチームなら、ハンディも同然である。


「竜也君が酷いこといってる気がするの」

「なのは、気がするんじゃない。言ってるんだ」

「よけい酷いの!」

「運動音痴」

「にゃ……本当のことでも酷いの……」

「あんたたちいつまで漫才してるのよ。始めるわよ」


そう言って、サーブをする構えに入るアリサ。
そっちボールからなんだ、とか言いたいことはあるが、やるからには勝たないといけない!
罰ゲームがやだとかもあるが、それよりも負けることが嫌だ。

絶対に負けられない戦いがそこにはある!!





ビギナーズラックという言葉がる。
これは初心者の奇跡という意味だと勝手に解釈してみる。

俺はそこに賭けた。
否かけざるを得なかった。

なのはが奇跡の才能を開花するとか。
なのはが実はバレーが得意だったとか。

まぁ実際には起こらなかったわけだが……

そのせいで1セットをとられてしまった。
ルールは1セット10点の3セット先取りというかシンプルなもの。

2セット目は、スポーツにおける「スポーツは何が起こるかわからない」という名言に縋った。

すずかが砂地に足をすくわれるとか、
すずかが足を捻って事態とか、
すずかが裏切るとか……

まぁ何も起こらず2セット目もとられたわけだが。

しかし、俺もただやられていたわけではない!
2セットの間に砂地の感覚はつかんだし、ビーチバレーの感覚もつかんだ。

そして、可能性も見つけた。
そう、勝つための可能性である。


なのはは子猫である。
それは俺に対してという条件付であるが、子猫のときは基本的に俺の言うことを聞くように、
餌付けされている。

最近、この子猫に教えていることは……


「なのは」

「はぁ…はぁ…な、何?竜也君」


すでに、なのははぼろぼろな上で涙目である。

ぼろぼろな理由はかっこよく飛びついたとかではなく自滅。

涙目な理由はやられたい放題にやられたからと言うのと
自分のふがいなさが故が原因であると思う。
なんだかんだで負けず嫌いだからね。


「お手」

「にゃ~ん」


俺が出した右手にちょこんとお手をする。
相変わらずこの子猫はかわいいと思う。
素直に言うことを聞くしな。

とそんなことを考えている場合ではなかった。

「待て」

「にゃん」


そういうと待機状態に入る、子猫。
ずっと俺の顔を御視している。


「何してんのよ! 油断してんじゃ……ないわよ!!」


そういうとアリサの強烈なサーブが飛んでくる。
俺なら反応することが出来るが、なのはではまず不可能だ。

普段のなのはなら。


「右に飛んで、前にお手の体制だ!」

「にゃん!」


俺の言葉通りに動くなのは。
右に猫のようにスパッと飛び、お手のように手を前に出す。

そして、そこにボールが当たり、絶妙なレシーブとなる。

俺はそのボールを直接あいて陣地にアタック!
お互いに初心者なのでアタックされると基本的に返すことが出来ない。

そのため……


「う、嘘でしょ……」

「子猫状態のなのは無限の可能性を秘めているんだぞ」


にゃにゃんと言う俺の横の子猫。
そして、相手を威嚇するようにフシャーフシャーと言っている。

いままで餌付けしてきた甲斐があったというものだ。
最近教えてきたことは、俺の言うとおり100%動くこと、である。

もちろん、人間の能力を超越したことなどは無理だから範囲内で。

最初は俺の言うことをよく聞かせる程度のつもりでやってたが、
まさか、こんなことに役に立つなんて……

子猫なのは、恐ろしい子!


「でも、まだ私たちが有利よ!」


まったくもってその通りだ。
しかし、ここからが俺達の逆襲の始まりである!



「なのはちゃんと竜也君のペアすごかったね」

「俺も予想以上でビックリしたよ。な? なのは」

「にゃん♪」


あのあと大逆転劇が始まった。

なのはの普段の運動音痴からはそうぞうもつかない運動能力で、
ボールを拾い、俺がアタック。

ひたすらこれの繰り返しだった。

なのはのサーブのときは残念な感じだったが、相手のサーブを拾うことが出来るし、
アタックもなのはが拾えたので負けはなかった。

なのは自身も、俺の言うことどおりに動くと、思うように動けたようでビックリしたみたいだ。
そして、未だに猫モードである。

なのはは後ろからベッタリとついてくる……すっかり子猫が板についたようだ。
これは、家のペットになる日も遠くないかもしれない。


それに対しアリサ猫はと言うと


「……」

「アリサ、何かしゃべってよ」

「……アリサちゃん」


負けたときから一言もしゃべってくれない。
これじゃあ罰ゲームの意味がないじゃないか!


「大体ね!あんたが!」

「アリサ、猫語」

「う……にゃん……」


相変わらず恥ずかしそうにやるねぇ、アリサ猫は。
顔が真っ赤だし、声は小さいし。

そこが、かわいいからいいんだけどさ。


「にゃ、にゃん。にゃにゃにゃ」

「なのは通訳」

「『今度覚えておきなさいよ!』だって」

「そうかそうか。かわいいぞ、アリサ猫」

「にゃ……にゃん」


褒めてあげると顔をよりいっそう赤くなる。
でも、そっぽは向けずにこっちを真っ直ぐ見つめてくる。


「ジーーッ」


俺がむしろ顔をそらすぐらいだ。

まったく、アリサ猫もなのは猫もかわいすぎるよ。
ああ、ひさびさにすずか猫も見てみたいなぁ。


「どうしたの? 竜也君」

「いや、すずか猫も見たいなって」

「え!? それはちょっと、ね」


少し考えをする素振りをするものの断るすずか。

彼女の壁はまだ崩せないか……
何かきっかけがあればいいのになぁ。
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