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小説挑戦


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ありのままに─第15話─

前略天国のお父さん。

俺はすこぶる元気です。

父さんはどうでしょうか?
天国はいいところですか?

俺の生きているこの世界は本当にいいところですね、最近よく思います。
この世界と言うかこの海鳴市ですが。

父さんに朗報があります。

家に新しい家族が出来ました。

なぜ生まれたのではなく出来たという言葉なのはか、理由があります。

新しい家族と言うのはペットのことだからです。
このペット、名はなのはと言うのですが、子猫です。

とてもかわいいです。

人でありながら人じゃなくてペットなのです。
不思議な生物でしょ? 父さん。

子猫とじゃれていると本当に癒されます。
今後も少しずつですが、ペットの数増やそうかなと思います。

現状で候補が二人──二匹います。
みんな個性があって、見たりじゃれたりすると幸せになれるんです。

話は変わりますが、夏休みも終わっていまい、もう新学期です。
最後まで残ってしまった、自由研究ですが。

『子猫の実態』というものを提出してみたところ、高い評価をもらって、
学校で表彰されました。

今度その表彰状もって、墓参りに行きますね。

さて、新学期と言うことで秋なんです。

スポーツの秋と言われますが、俺の学校ではその秋にちなんで、もうすぐ運動会があります。

天国から応援しててくださいね。




「では、皆さんの参加する種目を決めたいと思います」


先生の声が教室に響く。
今日は、近いうちに開かれる運動会の種目を決めをするようだ。

ようだという、他人事っぽい感じなのは、別段興味がないからだ。
普段から運動はしてるし、やれと言われればやるが、そうじゃないなら大人しくしてたいなぁという。


「我々四兄弟は騎馬戦をやらせて欲しい!先生」

「さ、さすが兄じゃ!かっこいいよ」

「騎馬戦こそ男だよね!」

「俺が一番上に決まってるけどね」


この運動会をやるにあたってもっともやる気満々なのは、
この間の内科四兄弟だっけ? あ、内科ならアウトドア系じゃないよな……

じゃあ、外科かな? うん、外っぽい!
漢字に外ってついてるし。

まぁどっちでもいいけど。


「一年生の種目に騎馬戦はないんだけど……」


なんというか殊勝な心がけだね。
でも、残念だったね。

騎馬戦ないってさ。
まぁ本人達には聞こえてないみたいだけど。


「やるからには絶対に勝つわよ!すずか!なのは!竜也!」


ああ、もう一人いたよやる気満々なのが、身近に。


「なんであんたそんなにやる気なさそうにしてるのよ!?」

「だって……ね?なのは」

「にゃ? ああ、竜也君はいいじゃん……私なんて……」

「なのはちゃんは運動苦手だもんね」


なのはが運動会を嫌がるのは当然と言ったら、なのはに失礼かもしれないが、
理解も出来るし、同情もするよ。

運動音痴だからね、なのはは。


「では、種目を発表します」


そう言うと、黒板に書目が書かれていく。

・選抜50m走 1
・障害物競走 1
・二人三脚 2
・代表リレー 4


「この他には全員が絶対に参加する、徒競走と全員リレーがあります。
また、この種目をやらない人は応援組みになります。
その時には学年で決めた演技をしてもらうことになります。では、この種目をやる人を決めましょう」


全員が強制参加するものと代表でやるものがあるのかぁ。


「先生!」

「はい、どうしましたか」

「その種目の決め方はどうするのですか?」

「立候補、もしくは推薦で決めようと思います、
なので今から順に先生が種目を読み上げていくので立候補したい人、
もしくは推薦したい人がいれば手を上げてくださいね」


うん、実に平等だね。
これなら立候補しなければ、強制参加のみになれそうだ。
そうなれば、運動会でも多少は楽になるかなぁ。


「では、まず選抜50m走ですね。
この種目は単純に足が早い人が良いと思います。
立候補のかたもしくは、推薦者はいますか?」


みんなを見渡しながら話を進行する、先生。
あとは、立候補者がでればまず第一関門突破だ。

その為には目立たないように顔を伏せとこうと思う。

…………

なんか、視線が集まってる気がする。
た、たぶん気のせいだと思うが、一応顔を上げて周りを確認してみよう。

前を向いてみる。
先生がにこやかにこっちを見てるのを確認した。
前の生徒がこちらに振り向いているのも確認をしたぞ。

もう一回伏せてみよう。

よく考えるんだ俺。
きっと俺を見ているわけじゃない。

そう、きっとみんな俺の後ろにいるスタン○を見てるに違いない。
珍しいからなスタ○ドは……

うん、この見解だとみんなスタンドもちに……細かいことはいいか。

ね、念のためだ横も確認してみよう。

横を見るとそこには当然、なのはが座っている。

そのなのははなぜか俺の方向(あくまで俺じゃない!)を向いて、
期待の眼差しを送っている。

一体誰だよ!
こんなにもなのはの情熱的な期待を受けるやつとか、もう俺嫉妬しちゃうぞ。


「先生!」

「なんですか? 高町さん」

「相沢竜也君を推薦しま─」

「い、異議あり! 人の意見を無視した推薦は駄目だと思います! 民主主義的に!」

「異議を却下します。相沢君が選抜50m走に出るのに賛成の人は手を挙げてください」


満場一致だった。
これは、もう清々しいほどに満場一致だった。

どうやら、俺に拒否権はないらしい。
民主主義万歳である。


「では、相沢君よろしくね。」


先生の素敵な笑顔だった。
これはもう、あれだ……諦めるしかなさそうだ。


「お願いね、竜也君」

「期待してるよ」

「あんたにかかってるんだから、期待してるわ」


うるさい!
そもそも、こうなったのなのはのせいじゃないか!

なのはが推薦しなければきっと俺以外の誰かがなっていたに決まってる!


「それは、無いと思うわ……」


いや、あるね。
十分にあるよ。

こうなったらせめてもなのはも道連れだ!


「先生!」

「どうしたんですか? 相沢君」

「障害物競走になのはを推薦します!」

「にゃ!?」

「はい。では、障害物競走は高町さん、お願いしますね。」

「にゃにゃ!? 竜也君それは無いと思─」

「なのは、静かに待て」

「にゃい」

「言うこと聞いちゃうんだ、なのはちゃん……」


ふん、俺に逆らおうとするからそうなるのだ!
せいぜい障害物だらけの、競争に巻き込まれて恥をかくがいい、ははは。

いや、なのはの場合は障害物に当たる前にこけるか……

ふっ、これは運動会が見ものだな。

なんか、俺の大切なものが失われた気がするけど。
気にしたら負けだね。

それにしても、なのははいい感じに餌付けされてるな。
なんか、もう俺に逆らえないんじゃないか?

すずかもさすがに少し引いてるみたいだし。

うん? この場合はすずかはどっちに引いてるんだ?

餌付けした俺か?
されたなのはか?

まぁ俺からすれば餌付けされるなのはが悪い……ってなんか悪者のセリフみたいだ。


「うん、順調に決まってますね。
次は二人三脚ですが、ある程度の運動能力と二人の抜群なコンビネーションが大切になります。
誰か立候補か推薦者はいますか?」


たぶん、どの種目よりも難易度が高いと俺は思う。

俺の種目なんかは、単純な足の速さのみ、いわゆる個人戦。
なのはの種目も、障害物こそあるが同じく個人戦。
そして、残っているリレーはチーム戦ではあるものの、やはり個人の力に頼るしかない。

それに比べて、二人三脚は自分の力を出しつつも、相方の力出さなければならない。
そして、それにはコンビネーションが絶対に必要。

こんな種目、このためだけに組まれた新生コンビなら上手く行くはずがない。
となれば、このクラスの熟練コンビとなれば……


「すずか、でるわよ!」

「あ、アリサちゃん!?」

「この種目はまさに私達のためのものだわ!
私とすずかの友情を試そうとしてるに違いないわ!」

「そ、そんなことは無いと思うけど……」

「先生!私と月村すずかが立候補します!」

「分かりました。お二人に命運を託します!」

「任せてください」

「私、出るって言ってないのに……」


すずか近くの人にしか聞こえないような声で呟いた。
その目には少し涙も浮かんでいる。

うん、それにしても予想通りだな。
実際、この二人以外に適任がいないのだから、しょうがない。


「人の意見を無視してやるのっていけないことだよね……竜也君の気持ちが分かったよ」

「そうだろ……なのはも分かったか?」

「分かったの……でも、竜也君は人のことを言えた義理じゃないと思うの」

「お前が最初だぞ?」

「うにゃぁ……ごめんなさい」

「分かればよろしい」


なのはもすずかも民主主義の偉大さが分かったようだ。
ははは、本当に民主主義万歳だな。

いや、多数決万歳と言うべきか。
平和的解決だよな、まったく!


「では、最後の代表リレーですが─」

「兄じゃこれは出るしかないんじゃないですか?」

「そ、そうですよ! ちょうど四人だし」

「え、いや…まぁ、そのだな」

「なら、俺が立候補しよう」

「はい、ではそこの四人組お願いしますね。」

「ちょ、ちょっとまってくれ!」

「煮えきらないですなぁ」

「じ、事情があって─」

「じゃあ、早速特訓だああああ」

「「おおおおおおおおおおおお」」


なんていうか、熱い四人組みだな。
クラスのみんなが軽く引いているのに気付かないのだろうか……


「あ、あのう……まだ、授業終わってないんですけど」

「ま、まて!俺にはだな!」


でも、まぁなんだかお祭り気分で楽しそうだからいっか。
なんか俺も熱くなってきたな。

となれば俺も本気を出すとするか。


「なのは、特訓だな」

「にゃ? た、竜也君!?」

「すずか、私達も負けてられないわ!」

「だ、誰に負けてられないの!?」


俺はなのはを強引に引きずって外に出る。
ふふふ、高町家伝統の特訓を俺がしてあげるとしよう。

まずはランニングからだな。


「ま、まだ授業が……」


なのはとすずかが連れて行かれる際に、ドナドナを歌ってたような気がするが、
気のせいだということにしよう。



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