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小説挑戦


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ありのままに─第19話─

秋がすぎ~冬が来る。

ということで、早くも季節は冬である。

秋と言う、生暖かくもすこし寒い季節とは異なり、本格的に寒い日々が始まった。

ここ、海鳴市は海の近くであるがために結構冷え込むことも多く、
また雪が降るのも珍しくはなかった。

俺的には雪と言うのは嫌いじゃない。
これは逆に言えば好きとも取れるような言い方ではあるが、好きでもない。

理由は至極簡単で、寒すぎるからだ。

ちょうどいいくらいの寒さってのはあると思う。
でも、雪ってのはやりすぎだ。

幸い、まだ大雪と言えるほどの雪は降ってないけど、まめにパラパラとは降るのだ。
その日は寒いったらありゃしない。

まぁ雪が降った日は、地面が凍って危ない為、剣術の鍛錬は室内、
つまりは道場内だけで行われる。

相変わらずトレーニングの内容は変わらないが、意外と飽きが来ないのは指導者がいいからだろうと俺は思う。

自分で言うのもなんだが、結構面倒くさがりやなので本当にすごいと思う。

それに対して、魔法の練習は結構本格派である。
本格派と言っても初期はただ母さんが暴れまわってるだけだったが、今は真面目な模擬戦や、
細かい術式の構成なども教えてくれる。

現時点では、防御魔法と治癒魔法、捕獲魔法は結構な領域にまで来てるとのこと。

俺からすると対比する相手が母さんしかいないから、
どれほどすごいのかも分からないから、回りと比べてどれくらいのレベルかは分からない。

それでも、母さんがすごいことぐらいは分かる。
室内一杯に、無数の光の刀を出現させて、四方八方から攻撃するあの魔法は、おそらく相当のものだと思う。

母さんの魔導師ランクってどれくらいなんだろう……
一回だけ尋ねたことがあるが。誤魔化されてしまったのを覚えている。

魔導師としての実力もさることながら、科学者としての方がすごいと本人談。

母は一体どこに行こうとしたのだろうか。

まぁそんな平凡な毎日を繰り返しているうちに、冬休みが来てしまった。

学校の終業式が12月の23日の出来事。
そして、現在は冬休み初日つまりは……


「「「メリークリスマース!!」」」


と言うわけであった。


「ほら、竜也君も言ってよ」

「ああ、メリークルシミマス」

「違うわよ!今日はクリスマスイブでしょ!」

「イブだろうが、エヴァだろうが面倒なのには変わりない」


本来なら今日は翠屋でクリスマスパーティ!
と行きたい所だったらしいのだが、何せクリスマス。

ケーキ屋からすればここ一番のかきいれ時で、ここ数週間は寝る間を惜しんで、商売とのことだった。

その結果、なのはたちはどこかでのんびりとクリスマスを過ごせないかと考えた末に、
我が家に突撃してきたと言うわけだ。


「来るなら来るって言ってよ……何にも用意してないんだから」

「別にいいじゃないの。こういう日はみんなで盛り上がる方が楽しいのよ」

「そうだよ!最近なのはと遊んでないんだから、今日は付き合ってよ!」


突撃に誤字はあらず、本当に唐突にやってきた。
今日は母さんも朝から翠屋にてバイト中なので、家は俺だけだ。

たぶんこの三人はそれを見越した上でここにやってきたんだろうが……


「やるならもっと広いとこがいいだろ。アリサの家とかすずかの家とか」

「私の家はお姉ちゃんと恭也さんが……ね」


ああ、そういうことか。
確かにそんな空間に放り込まれたらたまったもんじゃないよな。

そこには同情するが……ならアリサはどうなんだ?


「む、無駄に広いと寂しいじゃない。ここならちょうどよくて落ち着くわ」


声小さめに寂しい発言。
アリサ……かわいいやつめ。

そういうことなら早く言えばいいものを。

ってそれってここが狭いと暗に言われてないか!?

そういう意味合いなら、かわいくないな、うん。


「はぁ」

「な、何でそんな深くため息するの!」

「いや、いつも一人で寂しくしてるなのはさんを見てると同情して涙が」

「なのはは一人じゃないもん……一人じゃないもん」

「まぁそうだな。一人なのはアリサか」

「私だって違うわよ!」

「じゃあ─」

「私も違うよ?」


先に潰されてしまった。
さすがすずかやりおるな……

じゃあ、残ってるのは俺か……
まぁ確かに最近あまりなのは猫で遊べなかったから、寂しいと思ってたし、
アリサがいなくて賑やかじゃなかったなぁってのもあるし、
すずかがいなくて落ち着かなかったなぁ。

うん、依存してるの俺かもしれない。

絶対に誰にも言わないけどね!


「まぁ別にここに来て悪いってわけじゃないけどさ」

「ならいいじゃない」

「いや、ね。何にもないよ、ここ」

「知ってるわよ。だから持って来たんじゃない」

「え?」


そう言うと、アリサは自分が持ってきたバッグの中から取り出したのは……
猫じゃらし?


「おいおい、まさかアリサそれは!?」

「ふふふ、竜也も分かったようね」

「アリサちゃん本当にもってきたんだ」

「マタタビもあるわよ」


何とも用意周到なやつだ。
なかなかに猫の扱いが慣れているじゃないか。

家では犬しか飼ってないくせに。


「そうか、アリサ」

「そうよ」

「それで遊んで欲しいんだな?」

「え!? ち、違うわよ!」

「なんだ……ちがうのか」


俺はてっきりこれで、
「ご主人様遊んでください」とアリサが言うものだと思ったんだが……そうか違ったのか。
残念、無念極まりない。


「え、何々?アリサちゃん何かもってきたの?」

「な、なんでもないわよ!」

「ど、どうして怒ってるの? 顔真っ赤にして」

「う、うるさいわね!べ、別に怒ってないわよ」

「お、怒られたの……」


なのはは分かってないのか。
まぁ猫じゃらしとマタタビはあとでなのはに使うとして、
これから何をするかだが……


「今日はクリスマスだよ? 竜也君」

「だからどうした?」

「だ・か・ら、クリスマスと言えば!」


クリスマスと言えば?
ケーキ会社が儲かる季節とか、雪が降る季節とか、プレゼント……あ、そういうことか。


「プレゼント?」

「そう、そうなの!」

「ない」

「「「え?」」」


いやいや、そんなに驚かれてもね?
家は貧乏だし?

俺はお小遣いとかもらってないからプレゼントとか用意できないからしょうがなくない?


「そういう、お前達はもってきたのか?」

「持ってきたわよ」

「当たり前なの」

「もちろんあるけど」

「……そうか」


ははは、なんか空気読めてないね、俺。
で、でもさしょうがないじゃん!

クリスマスに気付いたのが今日だし?
さっき言ったとおりお金もないし。

にしても、この状況落ち込むね。
なんか甲斐性無しに見えるよ。


「じゃあ、プレゼントはあんたにはあげられないわね」

「え? 俺の分を用意してくれたと言うことか?」

「……そうよ」

「アリサちゃんね、すっごい悩ん─」

「なのは!余計なこと言うんじゃないわよ!」


キッとなのはをにらみつけるアリサ。
なのはシュンとなってごめんなさいと言い、すずかは苦笑してた。

しかし、残念だったなアリサ。
しっかり聞こえたぞ?

アリサは俺にプレゼントをあげようかどうか悩んでいたと。

悩んだ末にもらえるとか……嬉しいような悲しいような。
できれば悩まずにパッとあげると決断して欲しいものだ。



「プレゼントもらえないのは残念だな」

「え、別に絶対あげないとは……」

「なのははあげるよ?」

「そうか、なのはいい子だな」


にゃはは、と喜ぶなのは。
やっぱなのは見ると和むねぇ。
子猫にしか見えないもん、俺には。


「私からもちゃんとあげるよ」

「すずかもサンキューな。それに比べて……」


ジーーッとアリサを見つめてみる。
ちょっと目をウルウルさせて悲しそうにするのがコツだ。


「な、何よ!私が悪者みたいじゃない!」

「え?……ソンナコトナイヨ」

「何で片言なのよ!わ、分かったわよ。あげるわよ、ちゃんと」

「それを聞いてホッとしたよ」


なんという状況!
俺は何もあげずにみんなからはもらえるとな。

ノーリスクハイリータン。
意味がちょっと違うような気もしなくもないが、まぁいいかな。

でも、あれだよね。
なんかこのまま貰いっ放しだと、後でなんだかんだとか言われたりするかもしれないな。

それ以上に、男として駄目な気がする……

ふむ、どうするべきか……

クリスマスだろ……サンタにプレゼントにチキンにケーキ。
ケーキ?

そ、それだ!!

確か、冷蔵庫にはケーキを作る材料があった気がする。
母さんが翠屋で大量にもらってきた、ケーキの材料が!


「よし、じゃあこうしよう!」

「いきなり何よ?」

「俺はケーキを作る!それでそれを食べながらプレゼント交換タイムと行こうじゃないか!」


俺のこの発言でみんなの目が光る。


「そ、それいいかも……」

「あんたケーキ作れるの?」

「もちのろんろんだ」

「た、竜也君。私も手伝うの!」

「いや、いい。これは俺からみんなへのプレゼントだ。しばらく時間がかかるが、そこで待っててくれないか?」

「そ、それは別にいいわよ、期待してもいいのかしら?」

「さぁ? 好みのケーキとかある?」

「何でもいいよ。竜也君が得意なので」

「なのはも同じかな」

「了解した。じゃあ、ゆっくりまっててくれ」


さて、ケーキの準備に取り掛かるとしよう。
ふふふ、我が料理の腕に嫉妬させて、頬をたれさせてやるわ!



ケーキが出来上がったのは、夕方はすでに6時は回っていた。
そもそも、作り始めたのがおやつ時の時間だから生地を作る時間を含めても、妥当な時間だろう。


「ほれ、出来上がったぞ」

「遅いわよ!」

「しょうがないだろ、完全手作りなんだから」

「そうなの?」

「ああ、ちょうど材料一式揃ってたからね」


ちょうどショートケーキワンホール分の材料があったから、ショートケーキにした。
出来としては……まぁそれを判断するのは、なのはたちか。


「ほれ、早く食べちゃいな。晩飯食べれなくなっちゃうぞ?」

「うん、そうだね。じゃあ、みんなで均等に分けよう」


俺はすずかの言葉通りにワンホールを4等分……にするとあまりに多いから、8等分にした。


「残ったのはお土産にでもしてくれ、まぁ美味しかったらの話だと思うけど」

「じゃあ、食べさせてもらうよ。いただきます」

「「「いただきます」」」

「「「「…………」」」」


やはりみんな食べるときは無言になっちゃうな。
まぁ真剣に食べるという言い方はおかしいけど、味をみながら食べるとなるとそうなるか。

みんながまず一口ずつ食べる。


「「「!?」」」


見を真ん丸くして、驚くなのはたち。
う~ん、この場合はどっちの意味でとれるのかな?

俺も一口食べてみる。

うん、まずくないな。
味見は一応したけど、思ったよりまともだな。

この分ならまずいということは無いと思うけど。


「……竜也君」

「どうしたなのは?」

「うん、これ本当に手作り?」

「ああ、何から何まで手作りだぞ? といっても原料はさすがに市販だが、どうだったか?」

「もしかしたら、お母さんの作るやつよりも好きな味かも」

「え?」


いやいや、翠屋に勝っちゃまずいだろ。
あそこのケーキはかなり美味しいし、俺でもさすがに勝てる気がしないというか。


「そうね、翠屋とはタイプが違うから、比較は出来ないけど、これで十分店を出せるレベルじゃないかしら?」

「私も、そう思うよ。竜也君、なんでこんな特技があるのを教えてくれなかったの?」


そういわれてもねぇ。
俺としては予想以上の反響振りにビックリしてるんだが。


「まぁ気に入ってもらえたようで何よりだ。じゃあ、そろそろプレゼント交換タイムにしようぜ。
俺からはこのケーキでいいな?」

「異論はないわ」

「うん、十分すぎるぐらいなの」

「私もこれで十分」

「うん、そう言って貰えるとありがたいよ」

「実はあんたが来る間暇だったから私達の交換タイムは終わってしまったのよ。
だから、あとは私たちがあげるだけ。」

「そうか、ずいぶん待たせたらからね、しょうがないか」


まぁ3時間以上もこの何もない部屋に待たされたら、しょうがないよな。
少し寂しいけど、なんか疎外感だけど……

うん、負けない!


「「「メリークリスマス」」」

「あ……ああ、ありがとう」


3人が一斉にプレゼント渡してきた、これでもかと言う笑顔で。
そのせいで、一瞬見惚れちゃったけど……し、仕方ないじゃないか、この三人ってすごいかわいいんだぞ?

猫状態もさることながら、普通もかわいいから困るんだよな。
まぁ猫状態のほうが好きだけど。

3人のプレゼントは全員、箱に入っていて大中小と言った感じだった。
なのはが小、すずかが中、アリサが大である。

そして、渡し終わると、三人に後であけてねと言われた。

人に見せられないものがあるのか、それとも焦れさせてるのか。
もしくは、「あけるな、絶対にあけるなよ」と言ってるのか……

悩む、あけてしまおうかと一瞬本気で考えたけど、こういうのって雰囲気だよな?
うん、俺空気読めてる。


「分かったよ、じゃあこのあとどうする?」

「そうね、これしかないわよね?」


そう言って、バッグからまたチラつかせたのは、例のあのアイテムだ。


「そうか、分かったよ。アリサ」

「よった分かってくれたわね」

「遊んで欲しいんだな?」

「違うわよ!」


思いっきりたたかれました。
ボケたわけじゃないのに……

アリサだってちょっとやりたそうにしてたじゃん。

そんなことを考えてると、急にドアが開いた。


「たっだいまーー!!」

「母さんどうしたの!? 言ってた時間より早いじゃん!」


母さんは今日は遅くなると言っていたはずなのに、はて?
どうしたのだろうか。


「完売したから、帰ってきたのよ。それに母さんだけじゃないわよ? みんな入ってきてー」


そう言うと、ぞろぞろ入ってくる入ってくる。
この狭い家に入り切らないんじゃないかという面子。

高町家ご一家全員に、すずかの家の忍さんやメイドの人、
それに、アリサの家の執事の鮫島さんに、たぶんアリサのお父さんだろう人。


「さぁ、これからクリスマスパーティよ!」


全くこんな狭い家でやるなんてどうかしてるよ、みんな。

でも、それでも……すごく、すごく暖かいクリスマスだなぁ。
外はあんなにも雪が降っているのに、ここは人の温もりで一杯だよ。



おまけ

「では一発芸やります!」

『待ってましたー』

「なのは猫との戯れです、なのはまずはお手!」

「にゃん!」

「おかわり!」

「にゃにゃん!」

「そしてこの秘密兵器……ねこじゃらしで……」

猫じゃらしがなのは猫のまで舞う。

「にゃ、にゃにゃにゃ、にゃん!うにゃ~ん、にゃい」

なのは猫が猫じゃらしに向かってちょんちょん猫パンチを繰り広げる。

「よし、未だ一回転!」

「にゃ~~ん」

猫じゃらしなのは猫の周りを縦に円を描くとと、それと同じ軌道を回るなのは猫。

「着地!」

「にゃい!」

最後ににゃんにゃんのポーズをとり、固まる。

『か、かわいすぎる!!』


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