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小説挑戦


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ありのままに─第20話─

気温は温暖。
花粉が縦横無尽に宙を舞い、新たな季節の訪れに喜びを感じる人と、絶望を味わう季節と言えば、
誰もがわかると思う。

そう、寒い季節は終わりつげ、やってくるは始まりの代名詞。

海鳴市にも春がやってきました。

1年と言う意味では12月のお正月、1月の元旦で終わっているが、
小学校に通う身としては、やはり新年度の方が終わりと始まりを感じさせる。

かくいう、俺も今、少しこの1年間を振り返ってみる。


この1年を一言で言うなら、猫な年で。
複数の言葉を使うとなる、すべての始まりの年であったのは事実だ。

この町に引っ越すことから始まった。

高町家と出会い、アリサやすずかとの出会い。

また、始まりと言う意味では、剣術もそこに含まれるであろう。

季節の変わり目に毎回思うことがあるとするならば、やはりこの剣術の鍛錬の成果と魔法の練習だと思う。

まぁ冬の時期に比べると、時間も若干短いせいか、大した差もない。
冬のように語るべきこともないしね。

思い返してみれば、この冬の季節。
また、学校の単位で言えば、3学期というのは非常に変化に乏しい時期だった。

何か特別なことが起きるわけもなく、大したイベントもなかった。
あえて語れる内容としては、バレンタインと言うものがあった。

女の子が好きな男の子にチョコを上げる、恒例のイベントだ。

そう、女の子が男の子に……なんだけど。
はて、何を取り違えたか、あの三人娘達は俺からチョコをもらう気満々だった。

なぜかと理由を聞けば、


「え? だって竜也君は料理上手だから」

「むしろあげる側に回るべきだわ」

「なのは楽しみにしてるの!」


と、見当違いもいい回答が帰ってきた。

俺はそのあまりにも理不尽な要求をされたが、
そこまで期待するとかえって引くに引けないというよりは、火がついた。

これでもかと言う、本気のチョコを作り上げて、プレゼントして見せたところ。


「これ、本命……なの?」

「や、やりすぎじゃないかしら……」

「ちょっと……ね?」


むしろ引かれてしまった。
やりすぎたのは駄目だったらしい。

要求してきたくせに、贅沢なんだよ全く。

まぁ何はともわれ、美味しかったらしく、味には満足してもらえたので俺としては頑張った甲斐があるものというものだ。

最近、自分の知らない才能が開花し始めてるような気がするが、
気のせいだと思う。

そんな出来事もあったが、今日から新学期だ。


「じゃあ、いってきま~す。ほら、竜也君も行くよ」


なのはの元気な声が高町家に響き渡る。
今日はやはり、新学期と言うこともあって、なのはも浮かれている様だ。


「はぁ、じゃあ行ってきます。なのはそんなに慌てるところ─」

「にゃ!?」


もはや、定例イベントであるのはここだけの秘密だ。
なのはは大抵こういう浮かれ気分時はよく転ぶ。

浮かれ気分という文字の通り彼女の場合は地面に足がついてないようだ。

まぁこんなの毎朝の為、簡単に予想がつくから、倒れないように手をつかんでやる。


「にゃはは、ありがとう」

「いい加減、猫モード以外のときは駄目駄目だな」

「にゃ!そ、そんなことないよ」


だんだんと声が小さくなる。
自覚があるのだろうか、自信なさ気に答えた。

立ち話だと学校に遅れかねないので、学校に向かいながらしゃべる。


「そもそも、猫モードってどんな感じなんだよ」

「なんていうのかぁ。なんか竜也君の言うこと聞かなくちゃいけない気分になると言うか。
う~ん、なんか竜也君の傍にいると落ち着くと言うか、引き寄せられると言うか」


本人にもあまり分かっていない様子だ。
もし、これが解明できるようになれば、猫モードをもっと有効活用できると思ったんだが、
思ったより難しそうだ。

傍にいると落ち着く、ね。
俺は猫に好かれる体質と言うか、最近を思うと、猫に限らない感じだった。

ボーっと突っ立っていれば、自然に鳥が肩に止まるのもそう珍しいことじゃない。
伝書鳩などもお手の物である。

将来は、動物を使った新しい運搬業なんかいいかもしれないな、なんて思ってる。


「なのはでも分からないのか」

「うん、ごめんね。でも、いうこと聞いてると気持ちがいいんだよ?」

「俺には分からない感性だ」


全く意味不明だよ。
言うこと聞いてると気持ちがいいってなのははMな……安易な発言は止めとこう。

最近分かったことなんだが、なのは猫やアリサ猫、すずか猫では微妙に違う点がある。
いや、アリサ猫やすずか猫に関しては、ほとんど同じだが、それに対しなのは猫は色々と違う。

簡単に言うならば、なのは猫は天然もの、アリサ猫とすずか猫は人工ものという感じだ。

なのは猫はあくまで天性から来るものといってもいい。
じゃなかったら、あの身体能力もありえん。

瞬発力や反射神経だけなら、俺やすずかも凌駕するかもしれない。
たぶん、ここら辺の影響は完全に血と言えるだろう。

御神の血。さすがは高町家の末っ子と言った感じなんだろうな。


それに比べ、アリサやすずかは演技じみているというと、やな言い方かもしれないが、
たぶんこの言葉が分かりやすいと思う。

まぁアリサなんかは多少は天然っぽさは感じるが、すずかは物まねの領域だろうな。

俺としては、どの猫も半端なく、それはもう半端なくかわいいんだが、
あえて言うなら、従順?ななのは猫は特にかわいがってると言っていいだろう。

面白がってると言う意味ではアリサ猫が一番だが。
すずか猫の場合はあの猫軍団とのコラボがそれはもう……キュンと来るものがあった。

いつかはそこに、なのは猫やアリサ猫も交えさせたいもんだ。


「なのはにも全然分からないの……どうしてなんだろうね」


うーん、と人差し指をあごの部分にさして、少し悩むなのは。
俺からすれば、なのはの中の猫の本能みたいなものだろうと思う。

まぁこれからもこんな感じの子猫なら愛でてやろう。
猫の飼い主として。


「なのはちゃん、竜也君おはよう」

「あ、すずかちゃん、おはよう」

「おはよう」


いつもどおりの通学路で、いつものタイミングで居合わせるすずか。
今日も清楚というイメージがあうね。

しかし、一度猫化すると……ふふふ。

このことを知ってるのは俺のみだからなんだか得した気分だ。

バスに向かい学校に行く途中も雑談は続く。


「今年も同じクラスだといいね。ね? 竜也君」

「図らずもそうなると思うよ」

「え、どういうことなの?」


去年もそうだったが、あの母のことだ、絶対に仕組んでる!

だって、昨日それっぽいことを言ってたから。


「竜也、クラス替えが楽しみね」

「え、まぁどうなろうと別にいいけど」

「安心して、竜也を一人にはしないわ」

「いやいや、意味が分からないけど?」

「学校に行けば分かるわ」


去年のことと照らし合わせれば、十分に予想がつく。
最後の学校に行けばで。

こんな他愛のない話をしていたら、いつの間にやら学校の前に……


校門の前に目立つ金髪発見。
いつどこからみてもやはり金髪ってのは目立ちすぎじゃなかろうか?


「おはよう、アリサ」

「え!? あ、なんだ竜也ね、おはよう。すずかもなのはも」


アリサの挨拶に笑顔でおはようと返す二人。
新学期とはいえ、いつもと変わらないこの雰囲気にやっぱり春でも変化しないと、
若干期待してた俺は少し悲しくなる。

男の子はいつだって変化を求めるものだよね?


「なんだとは失礼な。まぁいいや、早くクラス名簿見ようぜ」

「そうね、それを見なくちゃ始まらないわ」


俺とアリサが先頭に立ち、まずは名簿が張り出されている場所に行き、掲示板を見た。


「あ、みんな同じクラスなの」

「そうみたいだね、今年もよろしくね」

「変化なし、ね。でもいいわ、今年も付き合ってあげるわよ」


三者三様に1年よろしくと言ったことを言う。

俺は予想がついていたが、うん、母さんは本当に何者なんだよ。
魔導師であり、科学者であり、この人脈。

なんで……なんでそれなのに貧乏なんだ!


「ああ、俺からもよろしくな」


まぁ今回は感謝しとくとしよう。
案外この3人を抜いたら友達いな─


「お、我らが皇帝と再び同じクラスか」

「兄じゃ、我や5兄弟もみな同じクラスですぞ!」

「皇帝閣下と同じですか、嬉しいです!」

「僕はみんなと一緒で一安心だよ」

「今年こそは俺がメインに」


あ、他にも知り合いいた。
かの4兄弟って5兄弟になってるし!

しかも、皇帝って、ああ、ちなみに俺のことね。

あの運動会の後、ナポレオンが授業に出てきてその時に英雄の話になって、
ナポレオンに一時期なったんだけど、
そのあと、ナポレオンが皇帝になったことから皇帝に……

なんか、そのうち神様になりそうだよ。

最近は尊敬よりも崇拝の眼差しを感じるんだが、気のせいだと思いたい。

それにしても、新入りよ。
皇帝閣下って、人通り多いここで言わないでくれよ。
みんながこっちに見てるじゃないか。


「あいつ、皇帝閣下だって」

「ちょっとしっくりくるから困るよね」

「いつもなのはに命令ばっかしするから、あながち間違いじゃないと思うの」


おい、そこ三人娘聞こえてるぞ!
俺が望んだことじゃないと言うのに……


『みなのもの図が高いぞ!!皇帝閣下のお通りだ!!』


や、やめて!
新しいクラスでいきなりそんなこと言わないで。
誤解されるじゃないか。

そして、一部の男子!
「ハハ!」とか言いながら、本当にひれふくすな。
そして、拝むな! 神様じゃないんだよ!

全く、新学期早々先が思いやられるよ。




猫成分が足りないと感じた作者によるおまけ

「アリサ」

「なによ?」

「猫モード、お手」

「にゃん。って何やってるのよ私!」

今はお手と言うと条件反射的に手を出すようになった、アリサ。

「おかわり」

「にゃい。じゃなくて!竜也!」

このギャップを最近楽しんでいます。
面白いじゃん、なんかころころ表情が変わるの。

「まて」

「にゃ~ん」

しかし、まての前では無力なり。

は! そうかこれが本当のツンデレ!?

猫状態がデレで、普通状態がツンの。

となれば、これからの目標は猫モードを長く続けさせることだな。
自意識がでないように。




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