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小説挑戦


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ありのままに─第27話─

季節は台風の季節と言われる秋。

台風と言うのは以外にも以外に、夏よりも秋のほうが多く来るのだ。
その結果、季節の中で最も降水量が多いのも秋らしい。

まぁこれらの知識は全部お天気番組の受け売りだが……


「みなさんも、運動会は終わったのですから……」


いわゆる、スポーツの秋の代表である、運動会はつい先日終わった。
競技内容などは去年とほぼ変わりはなかった。

先生いわく、1年生2年生3年生までは競技種目が一緒とのこと。
なので、俺も去年と一緒の種目に出場し、すずかやアリサも一緒だった。

ただ、なのはだけは今年は特に種目を選ばずに、全体と同じ行動をとっていた。
なのはにとって去年のことは相当ショックだったのかな?

まぁあんな公衆の面前で恥ずかしいところを見られたらしばらくは立ち直れないだろう。
実際に、今年の運動会前のなのはは何かに怯えるように、ずっと俺にピッタシだった。

一人になることを恐れるようなそんな感じだった。

トラウマならそうしたってしょうがないのにな。

まぁ俺としてはそのなのはをからかえて楽しかったので問題はない。

そして本番当日、学校の歴史上に残る大勝となった。
各種目で上位独占である。

去年もほぼ独占できていたが、今年はそれ以上のメンバーが揃ったと言うことなのだろう。

去年は失敗した代表リレーだが、今年も5兄弟が出た。
人数的に一人余るのでその一人は必然とあの「兄じゃ」と呼ばれている人物になり、
見事1位を獲得した。

そのときの「兄じゃ」の様子なんだが、嬉しいような悲しいようなそんな複雑そうな顔をしいていた。

まぁ何はともわれ、無事に終わった運動会。
俺自身も2連覇と言うことなので、この調子で連覇を続けたいね。

そう思うと……うん。
来年も頑張ろう。

来年はなのはも参加させてやろう。
そのためには今から訓練が必要かもしれないな!


「みなさん、これからは読書にも励みましょうね。なので、これから毎朝読書時間をとろうと思います。
ご自宅にある本や、図書館にある本を借りたりして、必ず明日もってきてくださいね。では、今日の……」


朝に読書の時間か。
つまりは先生は、読書の秋と言う流行にみんなにも乗ってもうじゃないか!
そのついでに、読書好きになって成績アップだぜ!

そう言いたいのかな?

俺としては、読書するのはやぶさかではないのだが、家にある本は読んじゃったからね。
また読み返すのもいいけど、どうせなら新しい本も読んでみたいな。

となれば、今日は早速図書館にでも行って─


「竜也君!」

「うぉ! どうした? なのは。そんなに慌てて」

「あ、あのね?」

「あ……ああ」

「読書って絵本でもいいのかな!?」


高町なのは8歳。
趣味読書、好きな本は、3匹の子豚です。とでも言う気なのかなこの子は?

まぁ先生も特にジャンルの指定をしてなかったら、いいとは思うけどさ。


「どうだろうな。俺はいいと思うぞ」


そうすると、なのははにぱーっと笑顔になり、
「今日は先に帰るね」と言って、またしても慌てた様子で帰っていった。


「なのはどうしたのかしら? あんなに慌てて」

「さぁな。きっと素晴らしいアイディアでも思いついたから忘れないように急いで帰ったんじゃないか?」

「なのはちゃん、いい本の思い当たりでもあるのかな?」


家にある、絵本の存在を今頃探してるんじゃないかな?


「まぁ今日は私達も塾があるから、先に帰るわね」

「ああ、そうか。じゃあ俺は今日はひとりで帰るのか……」

「ごめんね、竜也君。また、今度」

「気にしなくて結構だよ。じゃあ、また明日」


アリサたちと学校の校門の前までしゃべりながら、別れを告げる。

普段は最低でもなのはと一緒に帰るんだが、今日は先に帰られちゃったからね。
まぁ今日に限れば、一人のほうがいいかもしれない。

図書館で探し物があるときは、複数より一人のほうがやりやすいしね。
図書館までには微妙に距離があるが、今日は特に鍛錬もないので、その分の軽いランニング程度の気持ちで行けば、
30分程度でつくと思う。

あえて言うなら、制服で走るというのが気がかりだが……この際は諦めるか。

よし、そうと決まれば行動を起こすのみである。
荷物は5兄弟にうちに直接運ばせて……

よし、準備完了。


「では、ちょっくら走りますか!」



「ぜぇ……ぜぇ」


軽いランニング程度で済ますつもりが、やっていくうちにテンションも上がっきちゃって、
最終的には全速力になってしまった。


「た……タイムは……」


図書館の時計を確認する。
学校を出たのが3時ごろだったので……今は3時15分。

…………ちょっと頑張りすぎたかな?

制服の下もやや汗がにじんできていた。
今日が気温が低めで助かった。

もし、残暑でもあったら汗だくだっただろう。

まぁいいや。
本来の目的に戻ろう。

今日ここに来たのは、朝読書の時間に読む本だ。
家にないタイプのさらには、周りを圧倒できるような本がいいな。


「あ、あった! これなら読書に最適だ!」


この分厚さ!広辞苑並み!!
そして、この情報の量! 並みの本とは比べ物にならない!

『猫猫大百科~世界の猫たち~』かんぺ─


「だ・か・ら! 大百科を読むのは読書とちゃうねん!!」


バシっとハリセンで頭をたたかれた。
しかも、背後から後頭部を!

人間の大切な期間である、頭を攻撃するとは……いったい誰だ!

そう思い振り返ると、いつかの子狸がいた。


「子狸でもないわ! 相変わらず飛んだ頭してるんやなぁ」


よく見ると、それは子狸ではなく車椅子の少女だった。
べ、別に悪口言われて弱気になったんじゃないんだからね!


「それで、どうしてここに、はやてがいるんだ?」

「どうして……やって?」


急に気迫が出てくるはやて。
どうしたんだろう、はやての後ろに黒いオーラを感じる……
お、おかしいな……前に会ったときのはやてはこんな怖い子じゃないはず。


「……71回」

「え?」

「竜也君に会いたいがために、この図書館に来た回数」


俺に会いたいがために来た回数が71回……だと?
今日の日付から毎日一回だとすると……え?

いやいや、嘘だろ、はやて。


「毎日……来たのか?」

「そうやで、竜也君」


急ににこりと笑いながら、言うはやて。
しかし、目は全く笑っていなかった。

むしろ、さっきよりもオーラがあふれ出ているような気がする。

もしや……はやては暗黒面へと落ちてしまったのか!?


「あの別れた日。まるで、また明日にでも会えるさ、と言ってるかのように別れ、
私はその言葉を頼りに翌日、開館の時間から閉館の時間までずっと待ってたんよ?」


朝から夕方まで……はやてはずいぶん暇なんだな。


「竜也君、私は暇やないで?」


相変わらず微笑んでいるが、今ブチっという音が聞こえた。
確かに聞こえた。

何が切れた音かは分からないが、なんかとにかくまずい気がする。
そうなれば選択肢は……


「ああ、すまん! はやて、俺には用事があるんだ、じゃあな! また今度」


はやてに別れを告げ、そっこうで退避。
36 計逃げるに如かず、である。

はやては、車椅子。普通の人の逃げ足に敵うはずがな─


「はは……はっはっは! 甘いで竜也君! 逃げられると思うてるんか!?」


キキーっという音と共に、車椅子が綺麗な弧を描きながら、俺の逃走路をふさぐ位置に来る。
見事なドリフトとターンだった。


「今日はとことん、付き合ってもらうで!」


俺は初めて知った。
車椅子の可能性について。

そして、この八神はやてという人物の恐ろしさを。




「え……はやて様って一人暮らしだったの?」


俺ははやての家に連行された。
母さんにはすでに帰るのが遅くなると連絡はしておいた。

下手したら、生きて帰って来れないかもしれないけど、まぁそればかりははやて様頼みだ。


「その、はやて様っていうのはやめてもらえへんかなぁ?」

「何を言ってるんです、はやて様! はやて様がはやて様じゃなければ誰がはやて様なのですか!?」


若干面白くなってきているのはここだけの秘密である。


「竜也君……怒るで?」


にこっと言う擬音語出るような笑顔なのだが、どうしてなのかな?
黒オーラが常に見えるのは。

とっても怖いです。


「サー! イエッサー!」

「はぁ、分かればええんや。それで、私が一人暮らしのっ理由なんやけど……」


ちょっと暗い顔をする、はやて。
言うのを躊躇っているというか悩んでいる様子だった。


「まぁ竜也君ならええか。実はな……」


そこから、はやての昔話を聞かされた。
本当は聞かないほうがよかったんじゃないかと途中で思ったけど、
はやても悩んだ末に話しくれたのだ、それなら、その判断をはやてに後悔させたくない。

内容は、幼いころに両親が死んでしまったけど、父親の友人のおかげで、今は不自由なく過ごせていること。
もう、この生活に離れたから寂しくない、と。


「そういうわけや。満足したかぁ?」

「そうだな、はやて。嘘はいけないよ?」

「な、何が嘘なんや! どれも本当のことやで! 父さんや母さんが死んだのだって、父さんの─」

「そこじゃない! 寂しくないはずないだろ? 寂しくなかったら、毎日俺を探しに図書館なんて来ないだろ?」


寂しくなければ、友達になってくれる可能性のあるの人を探す必要がない。
不自由しないなら、家に出る必要はない。

それに……涙を我慢しながら語ってる、はやてに説得力があると思えないよ。


「あのな、はやて」

「…………」

「俺もな父さんを亡くしてるんだよ」

「え?」

「最近だけどね、だから、はやてほどじゃないにしろ、少し分かるよ。
寂しいと言うのも、自分が頑張らなくちゃと言うのもさ。」


父さんが死んで寂しかった。
これは間違いない。だけど俺にはそれを許してもらえなかった。

母さんがダウンしている間、俺が何とかしなくちゃいけなかったから。

気丈に振舞う……それは今の俺にも当てはまるかも知れないし、
それはアリサや、なのは、もしかしたらすずかにも当てはまるかもしれない……


「そう、やったんやな。なんや、気分悪いやないか。私だけが悲劇のヒロインみたいになって」

「気にするな、と言うのも無理か知れないけど、はやてに比べたら平和だよ」

「そ、それは関係ないで! 自分にとって大切な人がいなくなったんや、深刻度合いとか……
そんなのあらへんよ……なぁ竜也君」

「なんだ?」

「今は……幸せ?」


今は幸せか……また難しい問題だな、はやて。
幸せなんて昔と比べようがないけど、父さんのいたころに比べて……

いや、比べることが間違ってるのかな。

見るべきは今、か。
だからこそ、今は幸せか。

それなら、難しい問題だけど。
思うところはある。

アリサや、なのはやすずかがいて、こうやってはやてもいる。
それにフェイトだって。


「まぁ幸せなんじゃないかな?」

「そう、か。なら、ええんや。私も幸せやで、竜也君」


今日、初めてはやての純粋な笑顔を見た気がする。
黒いオーラなど纏わず、むしろ明るい、闇を照らすような……

本来はこういう表情をするのかもしれないな。


「あ、もうこんな時間かいな」


気付けば時計は6時を過ぎていた。
もう、秋も終盤なので外はもう暗くなり始めていた。


「そうやな、ご飯は食べていってや」

「え、いや、いいよ」

「駄目や、食べていかないと帰らせへんよ?」


こうなったはやては、頑固であると今日悟ったからな。
たぶん、これ以上の反抗も意味を成さないだろう。


「しょうがないな、食べていってやるよ」

「なんや、不服そうやな。よし! 絶対に美味いって言わせたるで!」


でも、何だかあれだね。
なのはたちにも知られず、母さんにも知られない、俺とはやて。
二人だけの空間って


「秘密の関係見たいやなぁ、私ら」

「奇遇だね、同じこと考えてたよ」

「ほんまか!? じゃあ……私らは秘密の関係やな。誰にも明かしたらあかんで」

「え? 友達紹介してやろうと思ったのに……」

「え……う、ううん、しばらくはこのままの関係で。だって、なんかこういうのって」


そうだね、秘密の仲って


「「ドキドキするね(なぁ)」」


俺はこの後、はやてに晩御飯をご馳走になって、家に帰った。
はやての料理の腕はかなりのものだった。

でも、俺も負けない。
今度は俺も何か作ってやるとするか。

そうしたら、料理対決できそうだな。
俺も鉄な人になれかなぁ。


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