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小説挑戦


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ありのままに─第29話─

冬……冬と言うこの季節は俺にとって、どんな意味を表すのか。

冬は寒い。
これは誰もが思い当たる節があるだろう。
例外としては、南の地方。

それこそ、沖縄や小笠原諸島などに行けば暖かいかもしれないが。
しかし、それでもそこに住んでる人にとっては「冬は寒い」という感覚であると思う。

また、南半球や赤道沿いも例外としよう。
条件は日本国内においてということだ。

ここ、海鳴市にも冬は来る。
いや、むしろ他の地域に比べても寒い方に分類されると思う。

それが分かるのは、雪の量だ。

雪の量は降水量にも影響してくるが、
そもそも寒くなければ降らないため、よく雪が降る海鳴市は十分に寒い方だろう。

それこそ、真北。
北海道なんていう場所と比べれば、まだ暖かいかもしれないが、
全国的に見てという点においては、十分寒い。

まぁさっきから俺が寒い寒いって言ってるかというと。
いいわけだね、うん。

ここは寒いのだからしょうがないじゃないか!
だから、布団から出られなくたってしょうがないじゃないか!

そんな言い訳を自分にしてるんだ。

朝の鍛錬があるから、寝ているわけにもいかないし、
すでに習慣になってるから起きることが出来るから差し支えないんだけど。

そのぶん、授業中に


「ふわ~ん」

「はい、相沢君! そんなに大きなあくびを先生に見せないでください」


先生の言葉で教室のあちこちから笑い声が聞こえる。
まぁ俺が間抜けだったわけだからしょうがないけどね。

でも、実際に眠し、これぐらいは許して欲しい。


「兄じゃ、閣下が笑われてますよ?」

「ふむ、そうだな」

「これは……すべきですね」

「そうだ、今こそやつらに制裁を」

「いつかは俺が……」


どこからか、兄弟の不気味な会談が聞こえたような気がするけど気のせいだろう。
そういえば、どことなく最近のクラスが。
否、学校中が俺に対してよそよそしいような気がする。

なぜかは分からないが、みんな俺が通ると避けるというか、近づいてこない。

そういう人の目には大抵、恐怖とかの畏怖のようなものがあった。

どういうことなんだろう……
まさか、5兄弟が何らかのことをしているのだろうか……

まぁ気にしすぎてもしょうがないか。

俺は再び授業に集中……ではなく、睡眠学習をとることにした。
睡眠学習とは寝てる間に授業が終わると言う、近未来的、かつ最も効率のいい勉強方法だ。

次に起きたころには、授業はおろか学校も終わってるであろう。

お昼ごはんも食べ終わり、外とは打って変わって暖房の効く教室は絶好の睡眠学習日和なのだ。

なので、寝よう。
ああ、寝よう。

次起きるときは、学校が終わったときだ。



「──た……君」


どこかで、俺の名前を呼んでる人の声がする。
せっかく睡眠学習をしてるのに勉強の時間を邪魔しようとする、邪推なやつに違いない。

俺はそんな声には片耳の傾けず、再び夢の世界へダイブする。


「──也君!!」


今度はさっきより大きな声がする。
しかも、声と一緒に身体を揺さぶってるようだ。

正直鬱陶しい。
俺は眠いんだ。眠らせて欲しい。

なので俺は相手に俺の意思を伝える。


「5……いや、待て」

「にゃん」


これで、邪魔者は消えた。
あとは、ぐっすり眠るだけだ。

さぁ行こう……理想郷へ!


「にゃにゃー!」

「うわ!?」


顔を引っかかれた。
い、痛い。引っかかれた場所は微妙に赤くなって、水ぶくれのようになっている。


「痛いじゃないか!」

「起きない竜也君が悪いの!」

「待てといったじゃないか!」

「もう、50分待ったの!」


そういわれて、黒板の上にある時計を見返す。
時計はすでに4時を回っていた。

外は雪が降ってるせいか、雲が多いいため、すでに暗くなっていた。

どうやら、俺は授業終わった後も眠っていたらしい。
そのうえ、変な体制で寝たから非常に体中が痛い。


「もう、アリサちゃんもすずかちゃんも帰っちゃったよ?」

「あ……そうか、待たせて悪かったな、なのは」


なのはの親友達も帰ってしまったらしい。
そんな中、なのはは俺の言われたとおり起きるまで待ち続けてたのか。

なんというか……うん、ご苦労なことだな。


「ううん、なのはも竜也君の寝顔が見れたから別にいいよ」

「おまえはうちに泊まるときよく見てるだろ?」

「え……そうなんだけど、学校だと新鮮だったから」


学校と家とじゃ違うのか?
その違いはよく俺には分からないな。

あれなのかな、ランニングでもいつも同じコースを走るのと、すこし違うコースを走るのとで新鮮が違うのと同じようなもんなのか?

まぁそんなことはどうでもいいか。
そんなことより本当に暗くなってきたし、帰らないとな。

特になのは早めに帰さないと、鍛練が鬼モードになりかねない。


「じゃあ、なのは帰るか」

「うん!」


そう言い、ようやく腰の重い俺はって自分で言うようなことも出ないけど、数時間ぶりに、自分の席を立つと、ドサっという物が落ちる音がした。

そして、少し体が軽くなった気がする。


「あ、なのはがかけてくれたのか?」


音がした場所には、茶色いコートが落ちていた。
さっきまで意識がハッキリしてなく、ちょっと寝ぼけ気味だったが、体が重いと感じていた理由はこれのようだった。


「う……うん。寒そうだったから」

「そうか、ありがとうな」

「うん! どういたしまして」


なのはが飛び跳ねるように喜ぶ。
お礼を言われたのが嬉しかったのかな?

感謝してるるのは俺のほうなんだが……

なのはのこういう優しさって本当にいいよな。
たぶん、これがアリサとかが、なのはは優しいと言われる要因なんだろうな。

いや、俺から言わせればお人よしなんだけどな。
こんな時間まで待ってることも含めて。


「まぁいいか」

「にゃ?」

「ほら、帰るぞ」

「うん!」


なのはと二人で家に帰る。
今日は鍛錬もなく、なのはの家にも用事はないが、こんな時間なのでなのはを送って帰る。

自分で言うのもなんだが、俺なら大抵のことからなのはを護れるしね。


「そういえば、竜也君」

「なに?」

「もうすぐ、クリスマスだね」


クリスマス。
冬の3大イベントの一つ。

他の二つとは元旦とお正月だ。

去年のクリスマスはすっかり俺が忘れてた。
というより、プレゼントを準備していなかったせいでケーキを作る羽目になった。

なので、今年はすでに考えてある。

しかし……


「今年はアリサもすずかも家の用事なんだよな」

「そう、なの」


寂しそうな顔をするなのは。

なのはにとって友人と言うのは家族以上に大切な人なんじゃないかと最近思う。
もちろん、なのはは家族のことも大好きなのも知ってるが、
どうしてもそう感じてしまうのは、家で一人きりのなのはを知ってるからだろうか……


「まぁ俺がいるんだから、我慢しなさい」

「そう……だよね。うん、そうか! 竜也君と二人きりだもんね」


思い出したかのように元気になる、なのは。

俺は忘れられていたのか?
ちょっと俺が悲しくなるぞ……


「今年はなのはのプレゼントを用意するぞ!」

「え、本当!?」

「ああ、それの参考までになんだが」

「うん?」

「マタタビと猫じゃらしとかつお、どれがいい?」

「にゃー! 竜也君! またなのはを猫扱いして!」

「え? 猫じゃないの?」


驚きの真実だ!
なのはが猫じゃないなんてありえないよ……

俺の中ではすでにペットだと言うのに……

もしかしたら、俺の知らないうちになのはは猫じゃなくなったのかもしれない。
こうなったら……確認してみるに限る。


「お手」

「にゃん」

「おかわり」

「にゃい」

「俺の上を飛べ!」

「にゃ~~ん」


なのは猫は俺の言うとおりにすべて動いた。
どこからどう見ても、猫である。

ついでいうなら、俺の真上を飛んだときに、見ちゃいけないものを見たが……気のせいだろう。

そして、猫モードのなのはに改めて聞く。


「マタタビ欲しいか?」

「にゃにゃ!? にゃん!」


とっても嬉しそうな目をする。
その目はものすごく輝いている。まさに、純粋そのもの。

ついでに通訳するなら「マタタビ!? ぜ、ぜひとも欲しい!」だ。


「じゃあ、猫じゃらし?」

「にゃ、にゃい!」


遊んで欲しい……だと?
そういえば、最近猫じゃらしで遊んでないな。

しょうがない、今度相手してやるか。


「じゃあ、かつおは?」

「うにゃ~ん」


食べてはみたいが、欲しいほどでもない、ね。
なるほど、非常に参考になった。

なのはへのプレゼントは決まりだな。


「にゃ!? ま、また竜也君の言うとおりに……」

「別にいやじゃないんだろ?」

「え……そうだけど。でも、ううん。やっぱり駄目だと思うの。本人の許可なしにやったら」

「別にいいじゃないか。俺も楽しいし、なのはも楽しい。利害は一致してるじゃん」

「う~ん。そうなんだけど……」


やっぱり、なのはも楽しいのか。
かまかけてやったんだけど、上手く乗ってくれたよ。

さすが、なのはだ。話しやすいなぁ。


「なぁ、なのは」

「なに? 竜也君」

「一人って寂しいか?」

「にゃ!? ……うん、寂しいよ」

「そうだよな」


クリスマス、なのはは俺がいなければ一人だったからな。

そういえば、はやては!?
あいつは両親いないし、学校にも行ってないから友達が……

一人、か。

なのはに紹介してもいいけど……秘密の関係だからな、俺とはやては。
それに何より、紹介した後が怖いような……

さて、どうするか。

せめて、プレゼントぐらいは用意してやるべきかな。


「女の子ってさ、何をもらうと嬉しいの?」

「え? た、竜也君!?


なのはが驚いた顔をすると、次には希望に満ち溢れた顔になった。
勘違いしてるみたいだ。


「なのはにあげるわけじゃないぞ?」

「にゃ……がーん、なの」


言葉の通り、落ち込む様子のなのは。
まぁ期待させてっぽいからしょうがないかもしれないけど。


「なのはにはマタタビがあるって」

「え? 本当! ……って普通は喜ばないの!」


普通に喜んでたじゃん今。すごく嬉しそうにしてたじゃん。

そして、家に帰るまでこんな感じの話のループだった。
俺がなのはをから喜びさせて、落ち込ませるの。

まぁなんとも、なのはの顔の表情の変化が激しいので見てて楽しかった。
なのはとしゃべるのが一番和むかもしれないな。

それにしても、はやてか……う~ん。
まぁいいや、あいつに関しては深く考えたら負けだろ、ギャグ担当でしょ?
はやてにはケーキでも作って渡せばいいだろ。うん、そうだな・これで全部解決だね。
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