FC2ブログ

小説挑戦


二次創作

新作試し読み

いつか続きを書くかもしれない新作の試し読みです。
イメージ的にはホームレスを改造したvr.です。

よろしければお読みください。




「お兄さんはなんでいつもこの公園に居るの?」

「それはね、お兄さんにはね居場所がないからだよ」


 公園で遊ぶ少年少女たちの中で、いつも一人で遊ぶ少女に問われた。

 茶色い髪を二つに結った少女である。小さい子は結構好きで、もちろん恋愛感情とかはもっと成長してからなという言葉が必要なので、ロリコンという意味での好きではない。

 純粋に小さい子を公園で眺めるのが好きだった。

 この一文だととんでもない犯罪者のように聞こえるのが不思議だ。


「なんで居場所がないの?」

「家だとね、お父さんとお母さんがどこか他人行儀で、俺にあまり関わりたくなさそうだからだよ」


 父と母のあの時の驚きようは今も覚えている。

 自分にはどうやら前世の記憶があるようだ、というか転生者っぽい、と告白した日の話。

 今までも、普通の子供や赤ちゃんとは全然違う成長や、やや早い早過ぎる成長を見せていたので、不思議だとは前々から思っていたようだ。だが、それも「我が子は天才」という殻を着せる事によって我慢して、無理矢理納得させていたようだ。

 しかし、その告白後両親の態度は180度裏返った。

 どこか変な物を見るような、それこそ俺をいぶかしむような目で見始めたのだ。

 どうだろう、俺はてっきりこんな特別な何かを持っていても、あの優しい親なら受け止めてくれると思っての告白なのに裏切られた気分だ。いや、真に裏切ったのは俺なのかもしれないが。

 それからと言うものの、親は俺に対して余所余所しくなった。これが他人行儀の正体だ。

 今まで愛称「かずちゃん」などと呼んでいたのに、今では「一正(かずまさ)さん」とさんという遠い関係になってしまった。

 俺は最初それでも父さん母さんと呼んでいたのに、そう呼ぶ度に嫌な顔をされるのでいつの間にか名前で呼ぶことがなくなっていた。


「そんな訳で、家にいると居辛いからこうやって学校が終わると公園に居るんだよ」

「う~ん、わかんないよー」

「理解できないと思ったから話したんだよ」


 理解されてもそれはそれで困る。

 こんな家庭の事情はこの小さい女の子がいるべき世界では無い。今はまだ、という言葉もつくかもしれないが。

 ただ、この子も俺と同じ頻度──つまり毎日、この公園に一人で来ているのは把握済み。この子に身それなりに家庭の事情がありそうだ。


「ま、それでも学費や生活費だけはまだ出してくれてるだけマシというものか」

「ましなの?」

「ああ、マシだよ」

「ましーましー。お兄さんはましなのー」


 マシという言葉気に入ったようで何より……意味は分かっていなさそうだけど。

 しかし、我が家の事情というよりは俺のこの家族関係は普通の人ならとっくのとうに崩壊しているだろうが、俺は崩壊させる気などない。

 絶対にやり直して見せると、むしろ前向きに考えている。

 ふふ、待ってろよ父さんと母さん! 絶対に俺の存在を認めさせてやるからな!

 俺はその後、家族関係を修復するのにやる気が湧き上ったので、これ幸いとこの少女との会話を切って、家に帰った。

 この出来事、午後3時から5時までの時間での出来事であった。





「今回も上手く行かなかったぜ」


 今日も今日とて、ブランコでぶらんぶらんと扱ぎながら砂場で遊ぶ少年少女たちを見ながら反省会をする。

 今回の仲直り作戦はいつもとは趣向を変えて、子供らしく振舞う、つまり我が侭を言ってお小遣いをねだるという方法を用いた。

 そうまさに普通の子供のようになので、ねだったところでくれないと予想し、その後の駄々っ子モードあのお店とかで「やーだやーだ、買って買って」というあれをやって子供らしさをアピールしようとした。

 しかし、その思惑ははずれ


「お小遣いが欲しいのですか? こ、このくらいでいいでしょうか?」

「え、あ……うん、ありがとう」


 と、なんか怖がられながら渡された。

 もう何か色々とショックを受けた。

 俺の性格が困難じゃなかったらこれは鬱な話になっていたかもしれない。

 とりあえず貰ったお金を使わないのは勿体無いので、公園にいつも居るたいやきやでチーズ味を買って食べる事にした。

 地雷かと思いきや意外と美味しいのは本当に意外だった。新発見である。今度はカレー味を試そう。

 これが美味しかったら今度はチーズカレー味を提案してみよう。美味しいもの×美味しいものは黄金値のはず!


「お金貰って美味しいたい焼きえれるのはいいけど、なんだかなー」


 本当に上手く行かないことだらけだ。

 俺は前世を持っている事を知った当時は、「もしかして強くてニューゲームか!?」と興奮して、第二の人生をどうやって過ごそうかとワクワクしてたのに、これだ。

 強くてニューゲームどころじゃない。二週目で難易度アップの「敵が強くてコンテニュー」だ。これでは慣れた人生で縛りプレイなんていう乙なプレイスタイルすらも出来ない。

 今を上手く生きるのに精一杯だ。


「だけど、勉強面は案外楽だったからいいか」


 一応これでも小学校に通う身だ。同じ事を勉強するのは最初は苦痛だと思ったが、これが案外そうでもない。忘れてしまってる事が多々あるし、例え覚えていたものでももう一回覚えなおす事で曖昧だったりしたものや、理解がさらに深まる。

 別段、悪い事は無い。

 人間関係は……そこそこ大変だったが、すでに小学校は高学年の5年生だからそこそこ大人びていている子もちょくちょく出てくるから、案外平気だったりする。というか、その子らは基本的に達観しすぎな気もするけど。

 それでもまだまだ餓鬼んちょが多いのが小学校5年生。

 入学当初は色々と大変だったのはいい思い出。あまり目立ちたくないため、自分の出来る限り影を薄くしたものだ。

 詳しい学校での話は……割愛。また今度ということで。


「今日も公園は騒がしいなぁ」


 ワイワイガヤガヤざわ……ざわ……している公園を俺は眺める。今度はシーソーに一人で乗りながら。

 一人シーソーって結構楽しいねとか思いながら。

 そうやって遊具を一人で弄っていると、いつもの時間通りに昨日初めて話した、いつも来ているあの少女がやってきた。

 公園に来ると周りを見渡し俺と眼が会うと、とてとてとこちらに近寄ってくる。


「こんにちわ」

「はい、こんにちわ」

「今日も来たの?」

「暇だからね」

「うん、なのはもなんだ」

「お互い暇人かぁ。一緒にシーソーやる?」

「うん!」


 キーコーといいながら少女と二人でシーソーをやる。

 なんだか少し楽しい。やはりシーソーは一人でやるものではなく二人でやるものだと再認識させられる。

 一人のときの、真ん中に乗って左右に揺らし「まるでサーフィンみたいだ!」とやるのも楽しいけど、本来の用途とは違うからなぁ。

 現に素晴らしきは二人乗りだね。


「…………」

「…………」


 二人して無言でシーソーをやる。ただただ、キーコーキーコーとシーソーの動く音だけが聞こえる。

 そして、どのくらいが経っただろうか。いつの間にやら、夕方となっていた。

 少し夢中でやりすぎたかもしれない。


「あ、お兄ちゃんだ」

「へぇ、お兄ちゃんがいるのかい?」


 少女が声をあげ、目線を送ったその先には確かに大学生くらいのお兄さんといえるような男の人がこちらに向かっている。

 なんとなくだが雰囲気が独特というか、普通と違うように感じるというか、とりあえず結構なイケメンである。確実にもてるタイプの男だ。

 きっとたくさんの女子に好かれたりしているに違いない。ああ、なんと羨ましい事か。


「それじゃ帰るね~。またねー」

「うん、またね」


 少女が元気に手を振りながら、自分の兄と言う男の下へと駆けて行った。

 その姿は仲がいい兄妹そのものだ。

 きっと兄は妹を溺愛してるんだろうなぁ。

 あんなに素直そうで可愛い妹が俺にいたら、確実に溺愛するだろうし。


「よし、やることもなくなったので、まだ終わってない今日の作戦を考えよう」


 時間が押してきているが、これだけは欠かせない。

 今日こそは絶対に仲良くなって見せる。

 俺はこの二度目の生を絶対にハッピーエンドで終わらせたいんだ!


「さて、我が侭がだめなら次は」


 ここ二・三年ほど前から万策尽き始めているが、諦めるわけには行かないので必死に案を捻り出す。

 大人っぽくは失敗した。十数回ほど色々なパターンで試したが失敗したので、まだ五回ほどしかやっていない、子供パターンを今日もやるか。いや、これじゃ二日連続だから駄目か。

 むしろシニアパターンという新しい領域の開拓をするか。

 親がもしかしたら熟しているほうが好みなのかもしれない。

 一所懸命に考えていると、なんだか周りが騒がしくなっているのに気がつく。


「あれ? パトカーが止まってるぞ。というか、もう夜か」


 時間の経過が早く感じる。

 作戦も決まったことだし、そろそろ帰るか。

 よししょといいながら長時間座ったり立ったりしていた、シーソーから降りる。


「あー、君、君。ちょっと警察署にきてくれないかな?」

「え?」


 家に帰ろうと公園から出ようとしたら、青い制服を着る警察官に止められた。

 あれ? 俺なんか悪いことしたっけ? 

 あれか、シーソーを日中ずっと独占してて、独占禁止法が……は、ないとして。身に覚えがないな。

 慌てて周りを見渡すと、通行人Aがケータイを持っていた。

 そして、俺はやっとこの状況を理解する。

 つまりは──


「通報しました」

「保護しに来ました」


 捕まっちゃった、てへ。
関連記事
  ↑記事冒頭へ  
←お知らせですよ!    →今年一年の総まとめ
*Edit TB(0) | CO(0)

~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←お知らせですよ!    →今年一年の総まとめ